ボールの回転について


※解説は間違っている可能性があります。あらかじめ、ご了承ください。


※図が見にくい場合は、ビューワー設定を「ゴシック/横組み」に変更してご覧ください。スマホの場合、スマホを横向きにした方が見やすいかもしれません。



●投球は回転する

 回転数の多さ(回転の速さ)は球種によって差があるが、投球は回転しながらキャッチャーに向かって行く。


 回転の向きによって「バックスピン」「トップスピン」「シュート回転」「スライダー回転(スライド回転)」「ジャイロ回転」に大別される。


 回転の向きが変わると、ボールにかかる圧力(≒押す力)も変わる。ボールは、圧力が強い方から弱い方へと動こうとする。


 つまり、回転が変われば曲がる方向も変わる。ピッチャーが球種を投げ分けられるのは、回転のかけ方を変えているためである。


※ボールには縫い目(一種の凹凸)があるので、空気抵抗が強くなる部分と弱くなる部分がある。縫い目の向きも変化に影響する。


 ボールに回転をかける時、少なからず手首や肘に負担がかかる。そのため、ピッチャーは肘を痛めやすい。




●バックスピン

 上に向かおうとする力が働く回転。「ボールの上側」が「進行方向の反対側」に向かう。


 下の図は、投球を横(三塁側)から見た時の図。横組み表示なら、画面の上側が上(空とか天井とか)になる。



    ←←←空気の流れ←←←


     空気の流れと同じ向き(圧力弱)

         ← 

 ボールの回転 ↓○↑  →→ボールの進行方向→→⇒ ※直球はほぼ直進

         → 

     空気の流れと逆の向き(圧力強)


    ←←←空気の流れ←←←



 バックスピンがかかる球種は、ストレート(フォーシーム)など。


 上向きの力が発生する事で、ストレートはほとんど落ちずに進む。回転数が多いストレートは、落ち幅がより小さくなり、バッターからはボールが浮き上がるように見える。


※重力に引かれるので、実際に浮き上がっている訳ではない。


※山なりに投げれば、ボールは一旦は上に行く。しかし、やがて下降軌道に入り、下降し始めてからは浮き上がったりしない。上昇気流にでも乗れば浮き上がるだろうけど……。



●トップスピン

 バックスピンの逆向きの回転であり、下に向かおうとする力が働く。「ボールの上側」が「進行方向と同じ側」に向かう。


 下の図は、投球を横(三塁側)から見た時の図。横組み表示なら、画面の上側が上(空とか天井とか)になる。



    ←←←空気の流れ←←←


     空気の流れと逆の向き(圧力強)

         → 

 ボールの回転 ↑○↓  →→ボールの進行方向→→⇘ ※下に行く

         ←

     空気の流れと同じ向き(圧力弱)


    ←←←空気の流れ←←←



 カーブなど、斜め下に曲がって行く球種はトップスピンがかかっている事が多い。


 落ちる球種としてはフォークが代表的だが、フォークには「バックスピンがかかっているフォーク」と「トップスピンがかかっているフォーク」がある。


 バックスピンのフォークの方が一般的だが、トップスピンの方が落ち幅が大きくなりやすい。


 バックスピンでもフォークが落ちるのは、フォーシーム程の回転数が無いためにフォーシーム程の揚力を得られず、重力に引かれて落ちて行くから。

(バックスピンのフォークの場合、回転が多いとあまり落ちない)


 トップスピンのフォークは、重力と回転の2つの影響を受けて大きく落ちる。



●シュート回転

「ピッチャーの利き腕側」に曲がろうとする回転。右ピッチャーの場合、右打席側に曲がって行く。左ピッチャーなら逆になる。


 下の図は、右ピッチャーの投球を上から見た時の図。横組み表示なら、画面の下側が右打席側になる。

(左ピッチャーの場合、回転が逆になるので曲がる方向も逆になる)



    ←←←空気の流れ←←←


     空気の流れと逆の向き(圧力強)

         → 

 ボールの回転 ↑○↓  →→ボールの進行方向→→⇘ ※右投げなら右打席側に

         ←

     空気の流れと同じ向き(圧力弱)


    ←←←空気の流れ←←←



 名前の通り、シュート回転の代表格はシュート。シンカーにもシュート回転がかかっており、ピッチャーの利き腕側の斜め下に行く。


 フォーシームもシュート回転しがちだが、フォーシームがシュート回転するのは良くないとされる。

(スライダー回転がかかってしまう事は少ない)


 キレイなバックスピン(縦回転)をかけようとして中途半端なシュート回転(少し斜めになった回転)がかかってしまう状態で、本来のバックスピンがかからず、得られる揚力も小さくなる。バッターからは威力が無い直球に見える。


 ツーシームは元からシュート回転させるため、シュート回転して問題無い。


 送球もシュート回転する事があり、シュート回転がかかった送球は悪送球になりやすくなる。


※投球も送球もシュート回転しやすいので、ボールを真っ直ぐ投げたい時は回転を意識するのも大事。特に、横から投げるフォームだと手首も横になりがちで、横の回転がかかってシュート回転しやすい。


※意識しないでもシュート回転してしまうが、ツーシームやシュートとして使えるレベルのシュート回転は意識しないと難しい。



●スライダー回転(スライド回転)

「ピッチャーの利き腕側とは反対側」に曲がろうとする回転。右ピッチャーの場合、左打席側に曲がって行く。左ピッチャーなら逆になる。


 下の図は、右ピッチャーの投球を上から見た時の図。横組み表示なら、画面の上側が左打席側になる。

(左ピッチャーの場合、回転が逆になるので曲がる方向も逆になる)



    ←←←空気の流れ←←←


     空気の流れと同じ向き(圧力弱)

         ← 

 ボールの回転 ↓○↑  →→ボールの進行方向→→⇗ ※右投げなら左打席側に

         → 

     空気の流れと逆の向き(圧力強)


    ←←←空気の流れ←←←



 名前の通り、スライダー回転の代表格はスライダー。カーブはスライダー回転とトップスピンがかかっているので、ピッチャーの利き腕側とは反対の斜め下に行く。


 シュート回転とは逆の回転なので、手の使い方も逆になる。シュート回転は親指側にひねるのに対し、スライダー回転は小指側にひねる。


 ひねる可動範囲はスライダー回転(小指側にひねる)の方が大きい……はず。スライダー系やカーブ系の球種は「ひねる系」とも言う。


 縦に落ちるスライダーの場合、トップスピンの成分が多くなっているため、横にはあまり曲がらずに下に曲がる。

(ジャイロ回転がかかって縦に落ちるスライダーもある)


 仮に握りが普通のスライダーと同じであっても、手首の向きなどで回転の方向が変わる。


 オーバースローのピッチャーが投げるスライダーは、斜めや下に曲がりやすい。サイドスローだと横に曲がりやすい。



●ジャイロ回転

 ドリルっぽい回転をしながら進む。


 漫画などでは「ジャイロボール=通常よりもノビる(浮き上がるように見える)ボール」とされたりするが、揚力が発生しない回転のため、ノビるどころか基本的には落ちる。


 下の図は、投球をキャッチャー側から見た時の図。


         ← 

 ボールの回転 ↓○↑ 

         → 


 この場合はキャッチャーから見て反時計回りになっているが、時計回りでも反時計回りでも、ドリルっぽい回転はジャイロ回転になる。


 ジャイロ回転がかっているボールは「ジャイロボール」と呼ばれる。


 ジャイロ回転している変化球は「ジャイロスライダー」「ジャイロシンカー」のようにも呼ばれる。



●ほぼ無回転

 ナックルは特殊な球種で、ほとんどボールに回転がかかっていない。


 空気抵抗を受けるので完全な無回転にはならないものの、他の球種と比べたら圧倒的に回転が少ない。

(この空気抵抗と微妙な回転が、ナックルの不規則な変化に繋がる)


 フォーシームであれば、1分間に2200くらい回転する。多ければ2500くらいになる。人によっては、もっと多くなる。


 カーブやスライダーは、多ければ3000回転を超える。


 これだけ回転がかかっている(回転速度が速い)と、スロー映像でも縫い目がちゃんと見えない。


 一方のナックルは、ほとんど回転が止まっている状態なので、スローなら縫い目が見える。


 1秒に3回転したとしても、1分当たりで180回転にしかならない。1秒に3回転でもナックルでは多い方かもしれない。

(あまりにも回転が少ないため、スタットキャストで測定不能になったりする)

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