真実はだいたいいつもひとつ
カゲトモ
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『真実はだいたいいつもひとつ!』の決め台詞が響いた。アニメの再放送だ。
店のバックルームには扉がなく、勝手口と大量の酒の在庫、ロッカーが二つと、衣服掛け、小型テレビ、それからイスとテーブルがあるだけの更衣室とも呼べない場所だ。雇う予定はないが、女性のスタッフがいたらおちおち着替えも出来ないだろう。
「わぁ!」
いや、男性スタッフでもおちおち着替えられないか。
斉藤君の叫び声の後に「ミケさんっ!」と焦ったような怒ったような声が続いた。
「おいおい、ノックくらいはマナー中のマナーだろ」
「やーだ、ラッキースケベ」
「斉藤君を困らせるなよ」
「だっていつもこの時間りょーま君いないじゃない」
「だからってノックしねぇのは違うだろ」
「あたしとはなちゃんの仲じゃない」
「そんな怪しい仲になった覚えはない」
嘘。怪しい仲は嘘でも、俺とミケは腐れ縁みたいなもんだ。裏の店でママをしているミケとはもう十年以上の付き合いになる。
「どうしてりょーま君こんなに早いの? 仕込み?」
「今日は予定がなかったので、マスターにお願いして早く来させてもらったんです」
「へぇ、そうなの。真面目ちゃんねぇ」
「いろいろ勉強中ですから」
そうだそうだ。これから仕込みとか開店準備とかあるんだからさっさと帰れ。
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