嬉しいけど嬉しくないけど、嬉しい

 九月に入っても暑くて、汗だくだったのに、コンビニに入ったらいきなり汗が冷えて震えた。


「陽菜」


 待ち合わせていた幼馴染みのお兄ちゃんが雑誌を置いて近寄ってくる。


「どした? 顔色悪いけど」

「……なんでもない」

「嘘つけ、鳥肌立ってる。ああ、汗が冷えたのか」


 さつきくんの手の甲が私の頬に触れた。

 ムカつく。

 私が子どもだから。

 さつきくんと同い年の高校生だったら、たぶん手のひらだった。


「……寒いから、唐揚げ買って」

「いいよ。肉まんとドーナツも買おう」

「あんまり甘やかさないで」

「何でだよ。甘やかすに決まってるだろ」


 さっきまで冷たかった顔が、また熱い。

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