第2話 戦うべき相手
トイレの窓にあるはえとりリボン
あんなにもハエがびっしりとれているのに
まだ、まだとれると
ぶら下がっている
いつもあるのに
いつもハエは死んだままくっついていて
特別気にせず用を足して
俺はいつものように
トイレを出るだけだったのに
突然どこからかゴングの音がして
トイレはリングに変わる
狭い壁がどこかへ消えて
割れんばかりの歓声が辺りを包む
眩しいライトと派手な音楽
ポツンと立っ俺は拳を握りしめて
目の前の敵を睨みつける
殴ってはいけない相手だというのも
向こうに敵意がないことも
こんなことに何の意味もないことも
わかっているのに
敗北する
完敗だ
どうやったらこいつは負けるんだろう
そもそも戦うべき相手ではない
こいつはハエと戦っているんだから
だから今のは俺の負けじゃない
俺は強い
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます