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「最後までマスターを頷かせられませんでしたから」
「僕の得意なカクテルだからね。まだまだ若造の想太には越せないかな?」
なんて、不敵な笑みを浮かべながら店には不釣り合いなぐらい立派なバックバーからジンを取り出した。
マスターの動きはシェイクからステイから、全てにおいて芸術的に美しいと何度見ても思う。静かでなめらかで滑るような手つき。あんなに長く見ていたのに、俺はその十分の一も吸収できていないと思う。
俺の中でマスターは本当に最高のバーテンなのだ。
「やっぱり、マスターが作ると凄く美味しいですね」
「だてに何年もバーテンやってないからな」
何てこと無いように言うけど、凄く恰好良い。いつか俺も、マスターみたいなバーテンになれたら・・・。
「じゃ、今度は想太が何か作ってくれよ」
「え」
「僕も久しぶりに想太の酒が飲みたいな」
「・・・いいんですか? 勝手しちゃっても」
「お前はそんな子じゃないでしょ」
きっと一生この人には敵わないんだろうなぁ。
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