空の月には届かない
カゲトモ
1ページ
秋らしい真っ青な空が広がっていたのに、店を出るときにはすっかりと肌寒くなっていた。今日は中秋の名月、夜へのグラデーションの空にお月様が一番星と共に輝いている。
この時期は何を着たらいいのか分からなくなるのが難儀だ。女性みたいにカーディガンを常時持っているわけにもいかないし。
やっぱり薄手の長袖にすればよかったかな、なんて七分袖を引っ張りつつ思う。持っていた小さな紙袋が揺れた。
その中身は本日二件目のカフェで購入したケーキだ。その店はオーガニックが売りの紅茶専門店で茶菓子も全てその店舗で作られている。仰々しく飾られているわけでないが、丁寧なデコレーションはとても魅力的だ。しかも味もいい。俺も良くテイクアウトして家で食べていたりする。
酒飲みでも甘党派の酒飲みなのだ。
しかし、今日は俺の為のものじゃない。これはこれから会いに行く人のためのものだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます