第9話

「おい、あいつチョロそうだよな」

「おいおい、ツカサの女に手ぇ出したらさすがにキレるって」

「いやいや、あいつ重そうだし、適当に言えば案外いけんじゃね?」

「あ~……そう言われるとそうかもな」

「だろう? だからよ、今度待ち伏せでもしてまわしちまおうぜ」

「相変わらず好きだなお前」

「お前だって散々ヤッてきただろう」

「お前がヤるからだろ~」

「じゃ、じゃ――いつにすっか? 最近、収獲ねぇからなぁ」

「おいおい、たまってんのかよ」

「あ~――すっげぇムラムラしてきた。今日にでも突撃すっか?」

「馬鹿、今日はさすがにツカサが離さねぇだろ」

「じゃあ、幸せ気分をぶっ潰すために、ツカサの家から出てきたところでも襲うか?」

「お前ひでぇ奴だな~」

 ケラケラと笑う声――女性は、そんな2人に手を伸ばし、頭を下げた。



「………………」チュンチュン。と、囀る鳥の音も、希望の朝を告げるものでもなく、ただただ鬱蒼と纏わりつく雑草のように――アキラはそんな朝を恨むかのように表情を歪めた。「夢――?」

 ここはアキラが住んでいるアパートであり、部屋にはアキラ以外いない。しかし、ここは散乱としたあらゆるものがあり、アキラは頭を抱えた。

 そして、布団をめくるのだが、布団の下の体は一切の衣服はなく、さらには強く叩かれたのか、赤く痛ましい肌が露出していた。

「……クソッ、やるだけやって何もしねぇで帰んのかよ」

 アキラは床に散らばっている下着と服を拾い上げるとそれを持って洗面所に向かう。そして、洗濯機にそれらを投げ込むと風呂場に入り、シャワーを浴び始めた。

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