第23話 ※追記アリ『夏季限定本棚通信』
「女の子には一生に一度魔法が使える時期があるの。私にだってあったもの」
というようなセリフが出てくるアニメ映画があります。
夏と少女と超常現象、いいですね。リリカルですね、フォトジェニックですね、少女のきらめく一瞬をフィルムに焼き付けた云々といった文章映えしますね。ただし大抵の女子には魔法など使える機会は訪れることなく、そのままダリダリと年を重ねては、特にリリカルでもフォトジェニックでもなく、自分が十代後半の頃にきらめくような一瞬なんてあっただろうか……と振り返ってはげんなりし、件のアニメ映画の監督作品が金曜日の夜に放送されるたびに「なんでこの監督は各種イケメンと魔性のショタを描かせたら右に出る者はいないという得難い特性を封じるように、賛否両論まき起こす家族の物語ばかり描こうとするのか……?」といった愚にもつかんことをtwitterを書きこむようなダメな大人になるわけですが。
まあそれはそれとして、夏と少女と超常現象という組み合わせから発生する詩情の吸引力たるや恐ろしいもので、悔しいがやはりついつい心惹かれてしまうものです。
そんなわけで少年少女が夏に遭遇するキラキラした超常現象に取り組んでみた、短いお話になります。私にしては珍しい少年少女カップルのお話です。
きっかけは、カクヨム甲子園2018のキービジュアルに惹かれたこと、そこから想起される短編小説による自主企画があること、前回1200文字内の短い小説をかいてみたことから「もう一つくらい挑戦してみるかな」となったこと等さまざまな要因があげられます。
前作『しゅわしゅわ』は、なんとなく自動書記状態で書いたものを1200字内にそぎ落としてできた雰囲気のみの小説ですが、今回はできれば最初から1200字内に収まるしっかりとした筋と構成のある「すこしふしぎ」な話をこしらえることを目標に取り組んでおりました。
……が、どうだったでしょう。書いた者としては「難しい! 文字数くれ!」の一言に尽きました。もうちょっとキレのある話にするのが目標だったのですが、やっぱりフワッとしてますね……。うーん、難しい。
私がどうして未来から本をあなたに向けて送ったのか私はあなたに何を伝えたかったのか、そこはぼかしましたが一応正解はあります。
が、未来の私はどうしてそんなことをしたのか、時空を捻じ曲げてまで伝えたい思いとはなんだったのか、未来から届いた本はなんだったのか、どうしてあなたの妹が撮った写真を私は手に入れることができたのか等など、色々とお考えいただきましたら……と思います(まあそんな難しいことでもなくシンプルな理由です)。
なお、「本の部屋」はエリナー・ファージョン『ムギと王さま』の前書きにある本の小べやがモデルです。あの文章が好きすぎてそこばっかり読んでいたたため肝心の中身を知らないという有様です、『ムギと王さま』……。
※第二話追加による追記※
やはり第一話のみではあまりにもフワッとしすぎてキレがない……という点が気になりだした為に、解答編にあたる二話を付け足すことにしました(そのため自主コンテストの参加は取り下げました)。
1200文字内で全てを語るという挑戦からすると完全に敗北ですし、こうして答えを明かすという行為も「滑ったギャグを自ら解説する」ようなもので恥ずかしいの一言に尽きますが、キレに欠ける短編の解釈を読んだ方に預け自身は泰然自若と構えるということが出来ませんでした。全くの小者ですよ……。
第一話だけの方が好みだったなあ、という方に「申し訳ございません」と謝りたいしだいです。
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