第18話 『実録 魔法少女焼死事件その真相』
2018年の1月中ごろから3月中ごろにかけての約二か月、熱に浮かされた状態になってエロ・暴力・残酷描写全チェック入りの魔法少女百合小説を書いておりました。
半ば何かに憑りつかれたようになって書き続けていたので、終盤は本当に疲労困憊でフラフラの状態でした。
故にかき上げた直後はこのように決意しておりました。
もう当分魔法と魔法少女と百合要素の出てくる小説は書かない!
いくら好きでも二か月もほぼ日刊でそんな話書いてたらさすがにちょっと飽きる!
魔法も魔法少女も出てこず百合要素もない短い小説を書いて気晴らししよう……と決意していた筈なのに、結局書きあげた小説はこんなんでした。
一応、現代日本が舞台の男女の感情の移ろいや心の機微を描いた小説なども書いていたのですが、どうにもうまく進められなかったのです。
根っからこんな芸風ですみません。
そんなわけで前連載作の登場人物の背景が語られる短めの小説です。
一応前作のボーナストラック的な小説という意味合いも込めてお送りしたのですが、前作のオマケにこんなのが付いてきて喜ぶ方はいらっしゃるのだろうか……? 「いらねえ!」ってなる方のほうが多いんじゃないだろうか……?
その辺は大いに不安です。
頭がおかしくてやたら発情しやすい主人公の視点にカメラをベタづきにした一人称小説だった前作は、主人公のテンションの乱高下にこちらも付き合わされるわ非常にエモエモしいわな書いてる方も大量のエネルギーを食われる作品になりました。その反動で、うんと高い所にカメラを据えて対象をクールに見つめる三人称小説を書きたくなっていたのです。エモエモしさを排したかったのですよ。
オヤジ系週刊誌に載っていそうな実録記事風の体裁をとってみたのはそんな動機によるものです。あくまでも実録記事「風」ですが。
一応どこぞのルポライターが書いた記事であるという体裁のつもりですが、「まともに取材してないな、このライター」と書いていて呆れたのはこの私自身です。「調べてもわかんねえし」で放り投げすぎだろ、仕事しろよ。こんなのデスクが書き直せって言うわ!
ともあれカメラを高く据えるのはいいものですね……文字数が抑えられるし。
前作の舞台がアメリカっぽい所だった反動で、本作の雰囲気を思いっきり和風というか昭和風にしたくなりました。もともと歌謡曲が好きなもので、じめっとした演歌や歌謡曲のイメージでやってみるかなと。焼酎とモツ煮が出て来そうな居酒屋の雰囲気でやってみたいなと。
イメージの核は、演歌の名曲「越冬つばめ」です。
「娘盛りを無駄にするなと日暮れの宿で背を向けた人」という歌詞をメインに、北原ミレイ「ざんげの値打ちもない」や藤圭子「圭子の夢は夜ひらく」を配するというイメージでした。
影のある少女とカタギではなさそうな年上の男の逃避行をやってみたかったわけですが、それを魔法少女でやる必要があったのかと問われると「だってやってみたかったんだもん」と答えるほかありません。
あと忍者型魔法少女ってそりゃ退魔忍じゃね? とお思いの方もいらっしゃるやもしれませんが、そちらは専門外でよく知らない為こう処理させていただきました。
間接的にあれこれ語られるだけのツバゼリツバメとツキノワの関係は、当初本当に「越冬つばめ」の歌詞のようなものにするつもりでしたが、最終的にちょっとちがうことになりました(それも憶測であるわけですが)。
書いているうちに「なぜある世代より上の紳士は阿部定事件があんなに好きなのか?」という日ごろからの疑問が膨らんできたこともあろうかと思います。
また執筆中に起きていた「幸色のワンルーム」実写化において醸し出されていた騒動に影響を受けたところもあります。
BGMに色んな歌手の歌う「ざんげの値打ちもない」を聴きまくっていたことにも影響されているかもしれません。梶芽衣子と藤圭子バージョンが素敵でした。
以下に補足や裏話など。
・そんなわけでして、本作はこちらとこちらのオマケ的な小説となります。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884092843
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884961908
一応、これらを読まなくても理解できる内容になることを心掛けましたが、いかんせん自信がありません。
なお前編後編の序盤に登場する天野ミネルヴァなる人物は、倫理観がおかしいやつばっかりでてきてしんどいこのシリーズの良心といいますか、私にとっての癒しというか、まあそのような役割を持つキャラクターです。
劇場版ドラえもんの出木杉くんみたいなポジションのキャラクターといえばなんとなくつかめて頂けますでしょうか。
・妖精のツキノワがどこでどうやって昭和のサブカルチャー趣味を身につけたのかは不明ですが、白土三平「サスケ」に出てくる鬼姫が好きなんじゃないかなコイツ……てなことをぼんやり感じていました。
・ハニードリーム所属の魔法少女の名前はリズムが四・三でマヌケな韻を踏んでいるという法則があるという設定を用意したためにネーミングに苦労しました。
・ツキノワの動画シリーズのタイトル、魔法少女ファンが読むという月刊誌のタイトルにいかにもそれっぽそうなものをつけてみましたが、かなり恥ずかしかったです。
・なお、私がついつい多用しがちな「……」を一切使わないというチャレンジに挑戦しておりました。
・シリーズものの一編になりますが、
どちらかといいますと『嘘松アーニャ』が好きな方の方が楽しめる内容ではないかなと自己分析しております。
今度こそファンタジー要素がない小説を書きたい……と守れるかどうかわからない決意をして終わらせていただきます。
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