出入り口から伸びる行列の一員に加わる。

担任の小松の声が響く。

小松「 出席番号順に並び直してくれー。前から若い順な 」


私は7番だから


「前の方か」


取り敢えず今の位置から脱出して前に向かう。


喜雨「あ、霧雨さーん」


ん、振り返る。


喜雨「一緒に行こう?」


たった数歩歩いて前に行くだけに一緒も何もあるのかと思ってしまうが、なるほど友達とはこういうものなのか?


いや、私と喜雨さんは友達なのか。

そこですら疑問だが「一緒に行こう」は女の性質だと聞いたことがある。


、、さめ、き、、めさん


んぅ、どこからか声が


喜雨「霧雨さん、大丈夫?」


喜雨「だ、大丈夫?ぼうっとしてたから、つい」


霧雨「え、っと」


なにか言い訳を話さなきゃ。えっとえっとなにか良い話は


霧雨「あ、えっとあれよ。自己紹介を考えていたの!」


ん、、自己紹介、、、!?


喜雨「あぁ。さっき考えてないっt」


霧雨「あ、自己紹介考えてなかった!」


喜雨さん「っはは。やっぱり霧雨さんて面白いわ。」


霧雨「へ、へぃ、、」


喜雨「へいって何よへいって」


不意に変顔ならぬ変声を出して顔を赤くする私を他所に喜雨さんは慣れた雰囲気で私の肩に手を置いて笑う。手が


喜雨「そんなに緊張しなくってもきっと大丈夫だよ。」


肩を揺らしながらそういう喜雨さんは見た目によらず楽天的な性格の様だ。


そんなことよりも私は肩に置かれた手が気になってつい


霧雨「手....」


喜雨「ごめんっ。嫌だった?」


いや、そうじゃなくて。


そう否定したかった。が私にはまだレベルが足りなかった。声にならなかった。


なんで昨日紅雨さんにあんなこと言えたんだろう。

今になって羞恥心がこみ上げて来る。


って、いかんいかん、自己紹介を考えなくては。


喜雨「蘭ちゃん。前、進むよ」


霧雨「あっうん」


そう言っていやに立派な講堂の扉をくぐると


霧雨「えっ」


喜雨「どうしたの?」


ひ、広い。


小松「今日は2階席使わないから入るんじゃねぇぞぉ」


2階っ!?


斜め後ろを見やると、ある。2階席が。


喜雨「蘭ちゃん、もしかしてここ来るの初めて?」

  「有名な劇団さんが来たり、舞台系の大会とか偉い人の講演会なんかをよくやるとかなんとか。桜峰学院堂って結構有名だよ。ここに入る為に説明会来る人もいるとか聞いたことあるよ。」


よ、よく話すなぁ。

喜雨さんのトークに傾聴し怖気つきながら立派な座席に腰をおろす。


そんな有名な堂があったのかぁ。ちょっと感心。


って自己紹介考えてないじゃん。

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