第9話:メインプレイ:ミドル3-2

GM:その瞬間、昭人の脳裏を、記憶の波が駆け抜ける。

 堂上悠との交流、堂上菜々子との交流。悠と並び立ってのマスタードリーマーとの戦い。

 それらの記憶が、走馬灯のように昭人を貫く。

昭人:「……あぁ。ねえ“悠”、菜々子ちゃんはあれから、毎日笑顔でいるかな。突然、トラックとかに轢かれそうになってない? マスターエージェントにさらわれてない?

 何事もない日々を過ごせていればいいんだけど」

悠(GM)::「ッ!?」

ローザ:「! 桜華さん、今、なんて」

悠(GM):「昭人……! ああ、菜々子は元気だ。笑っているとも……!

 菜々子の特異点は、アカデミアでの研究でかなり解明された。昔とは比べ物にならないくらい、平和な毎日さ!

 昭人が誕生日に贈ってくれたTシャツ、菜々子のお気に入りだよ。特に、カモノハシのやつとか……!」

昭人:「そっか……それなら、君に怒鳴られたかいもあったのかな」

悠(GM):「昭人、記憶が……?」

昭人:「君と菜々子ちゃんと過ごした時間が、なんとなく、頭に浮かんだんだ」

ローザ:「心が、少し埋められたんだね……よかった」

悠(GM):「ああ、よかった……茨木さん」

ローザ:「うん、なに?」

悠(GM):「昭人を、頼む」

ローザ:「……うん、頼まれたよ」

 あ、堂上さんと別れてモニター消してから、桜華さんに話しかけるよ!

「桜華さん。ひとつ、宣言させてもらっても、いいかな」 後ろを向いて、表情を隠しながら。

昭人:「なにかな、茨木さん?」

ローザ:「……私は“何があっても”桜華さんの味方でいるから。桜華さんを、守ってみせるから。

 だから、色んな人と、絆を結んでほしい。

 それが、私の宣言であり、宣誓。私からは、これを“約束”にさせてもらうね」

 振り返って、笑う。少しだけ、ぎこちなく。

昭人:「……うん」

 心の中でチクッと何かが痛むが、その理由はわからない。

ローザ:「それじゃ、行こう、桜華さん! 次の人に会いに!」

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