第8話:メインプレイ:エンディング2-2(PC1の真実)

GM:これは、「桜華昭人」の記憶から失われた、真実の物語だ。

 今から10年前、日本のとある地方都市で、「輪廻の獣」が暴走する事件が発生した。

 衝動のままに力を振るう輪廻の獣は、事件現場周辺に大量のレネゲイドを撒き散らし暴れまわった。

 そして、その多量に拡散したレネゲイドから、一体のレネゲイドビーイング(RB)が発生した。

 発生したばかりで定まった姿も人格も持たず、不安定な存在だったRBは、事件現場で出会った瀕死の少年の姿を「模倣」した。

 ノイマン/ソラリスのオーヴァードに覚醒していた瀕死の少年は、自分と同じ姿を持つRBを見て、彼に己の全てを託すと決めた。

 それは、死の間際にある少年――桜華昭人にとっての「命を繋ぎ、絆を紡ぐ」行為であった。

 桜華昭人は、名前を持たないRBに、自身の名前を名付けた。

 桜華昭人は、人格を持たないRBに、幻覚を利用して自身の記憶を与えた。

 桜華昭人は、衝動に抗う術を持たないRBに、侵食を「抑制」する自身の能力(Dロイス:調和者)を焼き付けた。

 桜華昭人は、何も持たずに生まれてきたRBに、宝物であるオルゴールを手渡した。

 そして桜華昭人は、己の名前・記憶・力・宝物を受け渡したRBに、最後の願いを託す。




桜華昭人(GM):「約束だ、君は生きて。生きて、いつかきっと――君だけの願いを、命の答えを見つけるんだ」




GM:こうして、RB「桜華昭人」がこの世に生まれた。

 RB「桜華昭人」は約束(願い)を受け入れ、そして桜華昭人は、輪廻の獣にトドメを刺され、この世から消え去った。

 その後、輪廻の獣の暴走事件はUGNによって鎮圧され、大型トラック暴走事故として処理されることとなる。

 しかしここで、桜華昭人の願いに誤算が生じた。

 他者の人格と能力を転写されたRB「桜華昭人」は、その際の負荷から、自身に関する記憶とレネゲイドが完全に休眠してしまったのだ。

 そして己の真実を忘れ失ったRB「桜華昭人」は成長し、ブルーフロントへとやって来る。

 そこで鏡面世界に引き込まれたRB「桜華昭人」は、エニグマ内の高濃度のレネゲイドに触発され、オーヴァードへの再覚醒を果たした。

 ……そこから先の物語については、君たちの方が多くを知っていることだろう。




 ――これが、RB「桜華昭人」の、真実の物語だ。

 昭人、君の「自分は誰だ」という疑問に対する事実はこうだ。「君は、誰でもない。桜華昭人の偽物だ」。

 以上の事実に関する記憶が、昭人の頭に流れ込み、走馬灯のように駆け抜けていく。


GM:さあ、君はどうする。どうなる……!?

昭人:うぅん……難しいな。


GM:というところで、描写をPC側にバトンタッチじゃ。

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