第3話:メインプレイ:クライマックス1-5

GM:さて、戦闘が終了したところで、その後の描写をやっていこう。

 君たちは、エリクサーセルを壊滅させることに成功した。これで、ジニアスアッパーが出回ることもなくなるだろう。

 既に流通している分に関しては、揚羽とクマが動いてくれるので、このシナリオでは考えなくて大丈夫だ。

 これで、後はテスト勉強して本番に臨むだけ……と、言いたいところだが。

 ここでちょいと判定だ。


▼判定「何かに気づけ」

 難易度……知覚 15


GM:誰か一人でも成功すればOKだ。ちなみに、GMとしてはぜひ成功してほしい。

 というわけで、判定どうぞ!


ローザ:このやろー! (コロコロ)達成値17!

昭人:(コロコロ)達成値13!? おのれー!?

GM:昭人ェ……(笑)

昭人:んー、GMさん。

 私も気づきたいので、タイタス昇華を行ないたい。いいだろうか?


 正直、一瞬、昭人がトチ狂ったかと思ったGMである。


GM:ローザが成功してるので昭人も気づいてOKだけど、それでも昇華しちゃう?

 ぶっちゃけると、シナリオの成功度には関係ない判定ですが。

昭人:今後のロールプレイにも活かしたいので、2倍振りになってもやってみたいかな。どうだろう。

GM:昭人が構わないなら、GMは止めません。

昭人:……行かせてもらおう! ここで「ローザ・アズール」のロイスをタイタスにして昇華! 達成値を1D振り足しする!

ローザ:って、私のロイスだったー!?

昭人:これを見ればきっと、彼女との関係は変わる気がする。


 その言葉を聞いた瞬間、ようやくGMは昭人がタイタスを昇華した理由を理解した。昭人はこの判定の結果、どんな事態が発生するかを正確に予想し、ロイスをも利用してロールプレイしようという腹積もりだったのだ。

 この、ダブルクロスのシステムに対しての貪欲さ。昭人がPC1で良かった。そう感じた瞬間である。


昭人:というわけで(コロコロ)達成値に+2! あっぶねえ!? だが、これで成功だ!

GM:はい、涙ぐましい努力の末、二人とも成功ですね。

 では、君たちは気づく。

 風に舞い散る、赤いバラの花弁。何者かが、少し離れた屋根の上に立っている。

 彼女が君たちを見下ろす視線は、ぞっとするほどに冷たい色を孕んでいた。

ローザシャドウ(GM):「……………………」

昭人:「……やっぱり、いた」

ローザ:(見間違いじゃない……あれは、私……!?)

ローザシャドウ(GM):「気づかれたか。やっぱりダメね、私」

 ローザと同じ姿を持った彼女は、君たちを一度見回し、最後に、ローザの瞳を射抜かんばかりに冷たく見据える。

ローザ:怯みそうになるのをこらえて見返すよ。

ローザシャドウ(GM):「来い、ルフスデジスタ」

GM:ここで彼女は、Eロイス「さらなる絶望」を宣言。自身の影から「ルフスデジスタ」と呼ばれた赤色の異形(イメージ:ペルソナ3FESのプシュケイ)を召喚する。


 ちなみに、「ルフスデジスタ」のイメージ画像はプシュケイだが、ローザの希望によって、デザインイメージに若干の変更が加えられている。具体的には、身体に当たる部分が暗い緑色となり、より赤バラをイメージさせるような配色となっているのだ。


ローザシャドウ(GM):「……この程度じゃ、殺せないか」

ローザ:「ルフス、デジスタ……嫌がらせのつもりっスか……!」

ローザシャドウ(GM):「嫌がらせ? ただの事実よ。わかってるくせに」

ローザ:「……っ」


 ここで、GMから読者に補足を入れておこう。

 ローザシャドウが召喚した異形、ルフスデジスタ。ルフスは「赤」、デジスタは「諦観」を意味する言葉だ。「赤の諦観」、それが、ローザシャドウが呼び出した異形の名である。


昭人:「君は、ローザさんのシャドウだね? 何故、こっちまで来たの?」

ローザシャドウ(GM):「理由なんて……それもわかってるんでしょ? ねえ、私」

 昭人には応えず、逆にローザに問う。

ローザ:「理由……考えられるのなんて、ひとつしかない。

 そうなんでしょ? ……シャドウジャーム」

ローザシャドウ(GM):「変な呼び方。私は私なのに」

ローザ:「私じゃない“っス”よ」 ぼそり

ローザシャドウ(GM):「……今日はここまでみたい」

GM:見ると、彼女の身体は塵のように崩れ始めているね。

昭人:「ローザさん……じゃ紛らわしいか。アズールさん」

ローザシャドウ(GM):「……なに?」

昭人:「また……今度でいいのかな? 今日はもう帰るんでしょ? それじゃあ、またね」

 彼女に向けて、手を振るよ。


 相手はシャドウだ。昭人の思いがけないフレンドリーさに、GMは少しばかり驚きを覚えていた。


ローザシャドウ(GM):「ええ。じゃあね、私……と、桜華くん。いつか必ず、私自身の手で殺してあげる」

GM:彼女が嘲笑うかのような微笑を浮かべると同時、ルフスデジスタが《瞬間退場Ⅱ》を宣言。

 湧き出した漆黒の闇に紛れ、彼女と異形は、どこへともなく姿を消していった。

 以上、判定成功によるイベントは終了だ。

昭人:「ふぅ。さて、と……俺たちも帰ろうか、“ローザ”さん」

ローザ:「ルフスデジスタ……事実、なんかじゃ……」

 まだショックが隠せない様子です!

昭人:(ルフス……確か、“赤”って意味だよね)

「……ローザさん」

 さっきより強く大きな声で呼びかける。

ローザ:(ビクッと反応し)「ど、どうしたっスか、桜華さん。おっきな声出して……」

昭人:「ほら、今日はもう帰ろう? 彼女も日を改めるみたいだし。彼ら(倒したFH)の応急処置とかしてさ」


GM:この間、仁王立ちしっぱなしのドーパントさん。

昭人:っょぃ。


ローザ:「あ、ああっと。そうっスね。FHとはいえ、ジャームじゃなければ、保護観察処分くらいには出来るかも……」

昭人:「うん。放っておくのも可哀想だし、何より風邪ひいちゃうよ」

ドーパント(GM):「…………」

ローザ:「そうっスね、はは。早く手当てしてあげようっス」

昭人:「うん、それがいいと思うよ」

 というわけで、昭人はFHに応急処置やらを済ませに行くよ。

ローザ:その間、傍目にわかるくらいには上の空だし空元気だったよ。

GM:では、このシーンを終了しましょうか。

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