ブラコンの妹とシスコンを認めたくない兄が異世界の扉を発見した結果。後日談

秋野シモン

第1話

 俺は今、マイコンピュータに冒険の記録をまとめている。いや、冒険ってほどでもないか。

「『俺の記録』、最後のまとめの言葉が思いつかない。俺国語苦手だからな~」

「お兄ちゃん、1つ気になるんだけど」

「ん?」

「メアリールとは何もなかったんだよね?」

「あぁ、告白されたけど振ったし」

「あれ?それって王城でだよね?」

「あ、あぁ。お前もいたろ?」

あの後、メアリールが俺の部屋に来たことは、ヒメには言っていない。そのことを話すと、俺がメアリールを抱きしめたことがバレる可能性がある。そんなことになったら、俺が死なない程度に殺される。

「確か、お兄ちゃん。デートの約束してなかった?」

「あ!奈祖乃との約束今日だ‼」

「え、大丈夫?」

「サボっちゃだめかな?」

「ダメ」

「お前は!お兄ちゃんが他の女とデートしてもいいのか!」

「だってお兄ちゃん、その人のことなんとも思ってないでしょ?」

「ん~、というか、あいつのことよく分かってないんだよ」

「なのにデートするの?」

「なんか、無理やり決められた」

「変わっているね」

「俺たちもな。ま、行ってくるよ」

俺は家を出ると、待ち合わせ場所へ向かう。さっきメールで場所指定された。メアドを教えた覚えはないが、多分忘れているんだな。俺の低記憶力のことだ。メールで指定されたのは緯度と経度というめんどくさいものだったが、さっき調べたら、なぜかあの公園だった。あそこに行くことはもうないと思ったのに。さすがに、ブランコではなく、滑り台の地点だったが。

「って、ブランコと滑り台、そんな距離ないけどな」

もともと小さな公園だ。そんなことを考えていると、もう着いていた。

「お、やっほー!天才君」

「よう」

「さ、デートを始めようか!」

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