【白い鳩】(バルバロ様)
【平和の使者】
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883956941
鳩は遠くを見ていた。
純白の鳩はその美しい羽をはためかせ空を舞う。
その目はこの世の全てを見つめていた、多くの争いが交う世界。
それを憂うような真っ黒な瞳。
多くの血が流れた、多くの命が散った。
その全てを見詰め、そして顕現した。
それが現れれば争いは必ず収束する。
しかし人の欲は底なしだ、一度終われどまた別の場所、別の時代に争いは起きる。
それでも尚鳩は空を舞う。
いつの日か全ての争いが無くなるまで。
不意に、その鳩が大きく旋回し一点。空の彼方に意識が向いた。
異常な気配。しかしそれはこの地球ではない、では何処か。
そしてその鳩に語りかける声、いや直感に近いものだ。
それが遠く後での異変を知らせた。それはこの世界を揺るがしかねない大きなうねり。
なればそれが向かわない理由は有りはしない。
軽く鳴いた鳩は一際大きく羽を羽ばたかせ、彼方へと消えていく。
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