異世界転移までの流れや基本的なストーリーはよく見る感じ。
ただ、主人公の肉体的強さ以外にも精神的な成長も丁寧に描いているのが好印象でした。
わりとこういうテンプレ作品は主人公の精神的成長って最初から最後まであまり描かれない(というかほぼ変わらない)印象ですけれど、いろいろと刺激を受けてゆっくりと成長していっているなと感じられました。
割とネット小説界隈では似たような失敗をすると「学習しろよ」とか叩かれがちですが、人間なんて三歩進んで二歩下がるような人が多いんじゃないでしょうか。(かく言う私もそうですが)
そんな中で、同じミスをしている、前回より少しまし、といった遅々としながらも少しずつ大人になろうとしている主人公が好ましかったです。
世界観もなかなかしっかりしていて、明らかに現代日本人と感覚が違う人たち(この世界の貴族的考えの人とか)がスルッとストーリーに出てくるのがおもしろく感じました。
残念なのが文章というか小説を書く技術が拙い点。
特に会話文は地の文を挟まずに同じ人物が連続で話しているせいで(A「○○なんだ」A「だけど○○で」A「だから○○しよう」という感じ。なぜ括弧閉じを区切っているのかの理由が分からない)誰が話しているのか非常に分かりにくいです。一応雰囲気で察せられますが、複数人が会話に参加していると誰がしゃべっているのか考えねばならず、話が頭に入り難くなってしまっています。
また、文節が長すぎたり、日本語的におかしい文章があったりとそのあたりは要確認と勉強が必要だと思いました。
ただ、全体的に自分の頭の中の絵を文章に出すことはできているように感じます。それだけに後一歩という惜しさがありました。