次に5人目を宿そうと決まったある日、私は会社の会議室で次のクライアントを選んでいた。

2人目から顧客と会社の立場は逆転し、こちらが客を選ぶ側になっていた。私を希望する大量の顧客リストを、履歴書の書類選考のように幹部達と私とで一枚一枚目を通しふるいにかけて行く。チェックするのは提示価格と夫婦の職歴と病歴。そして精子、卵子が劣化していない事を証明する病院の書類と、万一障がい者が生まれても訴訟はせず必ず引き取る事を約束した誓約書だ。切々と子供が欲しい気持ちを書いてくる夫婦も多いがそんなものは時間の無駄。一文字も読まずに必要な書類とデータがそろっている分だけを残し、書類不備と条件を満たさない対象者分は不採用の箱に投げ入れ、みるみるうちに箱は紙でいっぱいになった。


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