異世界転生してみました。~番外編~

烏丸 ノート

ハッピー?ハロウィン

「神風様!明日はハロウィンです!」


「お、おうそだな……」


机に乗り出し俺の近くまで顔を持ってくるのは”ルミエル・アルン・ティナベル”である。

現在俺らは少しばかり大きな戦いを終え、霞原家で休息を取っている所だった。

ルミエルはこの世界に来て間もないため行事事には敏感でありすごい楽しみにしている。

今さっきハロウィンと言ったばかりなのにクリスマスソングを熱唱している始末である。

だがすぐに歌うのをやめこちらを向いた。


「神風様!明日ハロウィンですってばァ!」


「分かってるよ!何がしたいんだよ!」


「もちろん……ハロウィンと言えば仮装です!」


しません


「しましょう!仮装!こ、こす、こすぷれ?という奴も!」


しません


「一緒にとりっくおあとりっくしに行きましょう!」


「うん君はトリックしかしないのかな?トリックオアトリートな?」


あるあるだね!


「それに日本じゃあんま見ないぞトリックオアトリートとか言ってる奴なんて」


「そんな馬鹿な!」


えぇぇぇぇえ……


「でもそんなの関係ねぇですよ。やりましょうぞ仮装してとりっくおあとりーと」


無茶苦茶、やりたくば一人でやってきてほしいものだ。

という訳でお断りしておいた。


「丁重にお断りさせていただきます」


「やだぁ!やるんです!やりましょう!ほら!舞雪ちゃんだってノリノリですよ!」


そんなわけないだろうと舞雪の方を見ると、お菓子を入れるかごを持ち、黒い布を着やった舞雪がいた。

舞雪ぃどうしてだよぉお前前は全くやる気なかったじゃんかぁ……


「お兄ちゃん……やろ?」


「よしやろうか」


「あれぇ!?さっき私の誘い断りましたよねぇ!?」


「当たり前だろ、可愛い妹が誘ってくれてんのにやらない兄がいるかよ」


何だ?妹のお願いを聞けない兄でいろというのか?そんなの不可能に決まってるだろ?


「じゃ、じゃあ私は神風様のお嫁さんですよォ!」


じゃあドレス来て町中走り抜けてこい…きっと注目されてお菓子もたくさん貰えることだろうよ……


「いや違うだろそうじゃないだろ、お前は俺の嫁じゃねぇだろ」


ルミエルは「違うんですか?」と言わんばかりの顔でこちらを見てくる。

そもそもだが俺の嫁になるのはま……


「お兄ちゃん変な意地張ってないでタキシード着なさい」


「えぇぇぇぇえ」


すごいノリノリの舞雪、俺にタキシードを着せるということは舞雪がウェディングドレスを!?というのは儚い夢であった……

白い純白のドレスに身を包んでいたのは────


「神風様!どうでしょうかこれ!うぇでぃんぐどれすなるものを召喚、試着してみました!」


なんだお前かよ!とはならず、少しの間見とれていた。

銀色のさらっとした髪に、純白のドレス、似合い過ぎてやばい。予想以上にやばい。目の前に小首を傾げた妹が居なかったら確実に惚れてる。


「神風……様?」


首を傾けるルミエル、そのせいで丁度舞雪の顔が見えなくなった。

まずい、目に入るのはルミエルだけになった。

ルミエルのしたからくる目線プラス小首を傾げるという仕草、もうダメだ……これ以上目を合わせていたらルミエル《こいつ》を好きになってしまう。

という訳でスマンが逃げることにする。

その時間稼ぎのため俺はルミエルの肩を握り、180°回転させた。


「どぉっしぇぇぇぇぇぇえい!!!!」


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?」


これでよぉし!

俺はそのままダッシュしようとした……なのに何故?なぜお前がいるんだよ………舞雪──!!


「ハッピーハロータキシード♥」


「──────!!!!!」


俺は無理やりタキシードを着せられた……まぁ、悪くは無いけど……なんかねぇ?そこにドレス来てる人いるとねぇ?てかさ ────ハロウィンって明日なんだよね?

今仮装する必要……無くない?と思うと同時にルミエルが驚きの発言をした。


「あ、神風様。ハロウィンは今日みたいです」


「ルミエルさんそれほんと?」


「うん、ほら」


と言ってケータイのカレンダー機能を見せてくるルミエル。そこにはハッキリと──


31日ハロウィン


と書いてあった。

それを見た瞬間ルミエルと舞雪は目を輝かせてこちらを向き……


「神風様!とりっくおあ、とりーとです!」


「お兄ちゃん、トリックオアトリート……」


満面の笑みで俺の顔元に手を出してくるルミエルと舞雪、俺はしょうがなく台所にあったチョコを渡しておいた。

すると2人はそそくさと渡したチョコを持って行き、舞雪の部屋へと入っていった。

いつもは二人きりでする仮装なし&お菓子なしのハロウィンぱーりーだが、一人騒がしいやつを混ぜて、仮装して、お菓子を渡すのも悪くないな、主に舞雪の笑顔が見れるからであるからであるが。

なんだか疲れた1日になったのでソファへと向かう途中、バタバタと二人の足音が聞こえた。きっとルミエルと舞雪が騒いでいるのだろうと思ったが、足音はこちらへ向けられてきている。

少ししてからルミエルと舞雪が現れ、ソファに座り込んでいる俺の前に立ち、こう言った


「「ハッピーハロウィン!」」


と……

次はお菓子を貰おうとする手ではなく、お菓子をあげようとして手を俺の顔前に出していた。

やっぱこうゆうハロウィンも悪くないな…そう思い俺は「ありがとう」と言って2人からお菓子を受け取った。

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