第二十一話 ブタっぽい俺のクッキング レシピ3 焼き鳥
朝日が登り始める中、俺が獣道をたどり薪を拾いながら拠点としてる野営地につくと、さっそく調理を開始した。
もちろん徹夜明けで眠いという感情は、俺にはない。
理由は簡単だ。
これから待ちに待った蝙蝠肉の遅い夜食ならぬ、早めの朝食が待っているからだ。
俺はさっそく拾い集めてきた薪に、ポケットに入っている百円ライターで、火をつける。
「さて、調理開始だ!」
薪に火をつけた俺は気合いの声をあげると、森からの帰り道で拾ってきた一際太く長い木の枝に蝙蝠を次々に串刺しにしていく。
そう、皆さんお分かりの通り、俺が今作ろうとしているのは、蝙蝠の焼鳥だ。
俺は採ってきた六個の蝙蝠肉を、縦長の木の枝に刺して串刺しにしていたのだ。
それからいつもより焼き幅を広げた丸焼き機に乗せると、ゆっくりと焼き始めた。
しばらく蝙蝠肉を、焼いていると、なんとも言えぬフルーティな甘い匂いが漂ってくる。
「そろそろか?」
俺はフルーティな甘い匂いを漂わせ始めた蝙蝠肉の甘さを増すために、ほんとは甘い焼鳥のタレをかけたかったのだが、あいにくもちあわせていなかったので、ふりかけの要領で、塩をまんべんなく振りかけた。
それからいい感じに蝙蝠肉に焦げ目がついてきたので、丸焼き機から、串の端を手に持ち持ち上げる。
「おおっ焼鳥だ!」
俺が持ち上げた蝙蝠肉は、まさしく『焼鳥』状態になっていた。
丸焼き機で、じっくり焼いたために、ほどよく落ちた油。肉の甘さを引き立たせるために、ふった塩。
ここに塩焼鳥が完成した。
「おおっこれぞまさしくザ、焼鳥!」
俺は歓喜に腕を震わせながら、思いっきりかじりついた。
「うおっうんめえええっ塩が蝙蝠肉のフルーティな甘さを引き出していて、カレーにしたときとは、また違う味わいを引き出している! それでいて、余計な油が落ちていて、肉自体が甘いから野性独特の臭みもまったく感じられない。まさに、ザ、おやつだ!」
そう、デブにとってカレーは飲み物で焼鳥はおやつなのだ。
そして、なによりデブはおやつを食べるのが早い。
で、苦労してとってきた蝙蝠たちは、あっという間になくなってしまったのだった。
「うーん。やっぱ食い足りねえなあ」
蝙蝠肉の焼鳥を食べ終えた俺は、よく肥えた下っ腹を撫で回していた。
「にしても、蝙蝠肉って甘いよなあ。なんであんなお菓子みたいに甘いんだろう?」
俺は蝙蝠肉の甘さについて考えていると、昔何かの番組で見た話を思い出した。
確か食肉などの味は、食肉にされる肉牛などの食べる物によって変わるとかなんとか言っていた気がする。
その事を思い出した俺は思わず声を荒らげてその場に立ち上がった。
「あっもしかしてっ確か動物の肉って言うのは食べた食べ物によって味が変わると聞いたことがあるっということは! この蝙蝠たちは、少なくとも体の肉が甘くなるおやつみたいなエサを食べているってことになるじゃねぇか! だとしたらこいつらが食っているおやつエサを見つけることができれば……蝙蝠のおやつ肉よりもっと甘いっお菓子にたどり着けるんじゃねえか!?」
驚愕の真実にぶち当たった俺は、勢いよくその場で立ち上がった。
「うしっさっそくおやつ探索だ!」
衝撃の事実によって眠気をが消え去った俺は、急いで蝙蝠たちのいた森に向かうために準備を整え始めた。
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