第五話 ブタっぽい俺のオーク狩り① ブタとレジ袋

 昨夜のこともあり、夜更かしをした俺は、眠たそうにあくびをかみ殺していた。


「ふあ~あ。結局明け方まで眠れなかったぜ」


 そう、俺はオークの肉の匂いにつられて現れた闇の中の気配を警戒するあまり、焚火の火が消えないように、明け方近くまで眠いのを我慢して起きていたのだ。


 まぁ明け方近くになって、さすがに眠気に耐えられずに少し寝ちまったんだが、どうやら無事に朝を迎えられたようだった。


 少し眠いながらも、無事に朝を迎えた俺は、リュックの中から、ポテチ袋と飲料水を取り出すと、ポテチの袋を開けて中に手を突っ込み掴めるだけポテチを掴んで口に放り込んで、いつものように飲料水コーラで流し込んだ。


「うんっやっぱうめ~」


 ポテチをコーラでゴブゴブと喉奥に流し込んだ俺は、いつものように満足げな声を上げる。


 もちろんポテチ一袋では全然足りないので、リュックに入っていたポテチと、一キロほどの特大板チョコなどを取り出すと、くっちゃくっちゃとほおばった。


 お菓子をほおばりながら飲料水で、のどを潤す。


 それを何度か繰り返すが、やはり、というべきか。これっぱかしの食料では俺の腹は、まったく満たされなかった。


「う~ん。どうしたものか?」


 俺はランニングからはみ出す俺の下腹を撫でまわしながら、考えを巡らせていると、俺の視線の先に昨晩丸ごといただいたオークの骨が入ってくる。


「オークか……強かったよな……うまかったよな……もっと……いるかな?」


 俺は思わず舌なめずりをしながら、オークが出てきた森へと視線を向ける。


 普通の異世界転移者や、駆け出し勇者や冒険者なら、俺みたいな思考にはならないんだろうけど、俺は今、猛烈に腹が減っている! だから俺は自分のすきっ腹に従い。自分の腹を満たすために、森へと分け入り朝飯とするためにオーク狩りをすることにした。


 といっても、さすがになにも獲物ぶきがないのが不安だと思った俺は、昨晩オークを串刺しにして、オークと共に火に焼き続けたにもかかわらず、燃え残っているかなり野太い木の枝を手にする。


「武器はこれでいいだろ」


 独り言をつぶやきつつ、オークに止めを刺した小さな岩も手にする。


「う~ん。ちょっと重いな」


 小さな岩を手にした俺は感想をこぼす。


 それにこのまま持っていくとはっきり言って邪魔だし、かさばる。と思った俺は、リュックのなかに手を突っ込み。食料品を買う時にもらったかなり大きめのレジ袋をリュックから何枚か取り出してから、それを何重にも重ね合わせて強度を上げる。


「うしっこんなもんだろ」


 俺は強度を上げたレジ袋に、小さな岩を入れると口を縛る。


 レジ袋と小さな岩で作った。お手製のモーニングスターって奴だ。


 俺はモーニングスターを手にすると、軽く振り回して調子を確かめてみる。


 さすがに俺の行きつけのスーパーの特大レジ袋だけあって、かなりの強度だ。これなら使える。


 俺はモーニングスターの出来に満足すると、いつでも振り回せるようにリュックを背負った後に肩に担ぐと、野太い木の枝を手にして立ち上がった。


「さて、行きますか」


 装備を整えた俺は、朝飯であるオーク狩りをするために、オークのいると思わしき森へと分け入っていったのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る