メリークリスマス……イブ。

とても夜遅くに君から電話がかかってきた。それはそれは遅い日だった。いやはや、11時に携帯に電話をしてくる非常識な人とは困った者だ。


それにしても、どんな用事だろうかと考える。



電話口で、君は夜遅くでごめん、と言った。

夜遅くだと思うなら明日かけろ、と言いかけて止まる。

彼が沈黙するのは、何か言いたいときだ。


「えーと、あの、その、ハッピーバースデー……」


とてもたどたどしく紡がれた言葉に驚いた。そのまま私が何も言わないのを不安に思ったのか、とても早口で理由を言い始めた。

私の誕生日は明日で、でも会えない。お互い仕事が入ってしまったのだ。それに彼は出張中。

しかも、明日となると少し残念である。


「あんまり遅いとメールになっちゃうし直接というか電話でお祝いしなきゃなって思いましてですね」


彼が慌てているのがとても可愛らしい。思わずこちらの頬が緩んでしまう。


「というか、それならメリークリスマスじゃないの?」


そう。

私の誕生日はちょうどクリスマスと呼ばれる日にだだ被りなのだ。


「いや、そんなことよりも君のお祝いの方が大事です」


さも当然のように言われて、すごく困った。




あぁもう会いたくなるじゃないか。




「……ありがと」


誰よりも早い、誕生日祝い。


それがとても、嬉しかった。

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