原作初期版ボイスコレクトワーカー
星野フレム
序章
世の中は、あらかじめプログラムが組まれている。
これは、就職の時に習った言葉だ。彼らの住まう世界は、科学が非常に発達した時代だった。その時代に生きる者達の中に、回収業を営む者達が居た。働く者達をワーカーと呼んだ。ワーカーセンターと言う統括場所があり、皆それぞれの仕事をしていた。そして、このセンターは、ある記録であるメモリというモノを集めるのが仕事だった。髪の色が青色っぽい一人の若者が、そこで働く事になった。この時代では、全ての人類の仕事が必然的に決められ、皆そのガイドラインに沿って就職活動をしていた。しかし、ある程度アナログな世界が好きな者達からすれば、それは人間と言う選択種族の冒涜だと訴える時もあったが、世界は上手く回っている。
それぞれが、それぞれの仕事を選択し、決められる世界。そんな楽な制度に便乗した若者達が、夢というモノを語る事は無かった。しかし、彼は違った。そう、彼の名は――
「俺は、ハイズって言います」
「そうか、じゃあマニュアルを観てくれ」
「俺、ここで色々な時代のメモリが見つかるって聞いて! それでここに来たんですよ!」
「ああ、ハイズ君。聞いているのかね? これは適性テストで重要なものでね」
「俺は絶対に合ってます! ここに合いまくってます!」
自己主張の強い若者だ。適性テストをデータを観ながら、この若者ハイズの担当であるテスターワーカーは思った。こんな若者は近年では稀に見るモノである。全ての若者が絶望にも似た憂鬱感を漂わせ、仕事を選ぶというのに。このハイズという若者は、実に希望と言うか、夢を持っているかのように見えた。そんな事を考えながら、テスターワーカーは、ハイズの適性テストを始めた。
『時代干渉に耐えられる精神レベルです』
時代干渉と告げた、その巨大なハイパーコンピューターは、ハイズを適任のワーカーとして、テストをしていた。今の所、問題なく彼の適性力が認められている。
『知識レベル86。適正レベルです』
ハイパーコンピューターの適性データ収集を全て終わり、ハイズは晴れて新人としてメモリ回収ワーカーとなった。どんな時代にも、それぞれの適性力がある。しかし、このハイズと言う若者は、実に生き生きとしていた。この時代にこんな若者を観れるのは、本当に珍しいというのが、テスターワーカーの考える事だった。
「俺完璧ですね!」
「あ、ああ。確かにそうだな。では、早速新人ワーカーとして君の仕事を観ようと思う」
「え、たった今からですか?」
「ああ。データは観ただろ?」
「ああ、はい。まあ、ちょっとくらいなら」
「まあ、現場には詳しい先輩ワーカーが居る。君は、そのワーカーに見学をさせて貰うのが最初だが……データは観ているのだね?」
「はい! バッチリです!」
テスターワーカーは、少し不安を覚えたが、彼の元気さに晴れやかなる気分になる事も確かだった。こんな若者は、本当に珍しい。そう、この世界は機械統一されてしまった世界なのだから。
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