第2話海へと引き込もうとする手
私が社会人になってすぐの頃。
同人誌即売会で知り合った友人同士で、ある即売会に遊びに行きました。
この時は一般参加でした。
なので、さして荷物もなく、夕方になってから近くのレストランで食事をとったのです。
場所は海辺。
冬のこととて、食事の後にはもうすっかり暮れておりました。
この時に、仲間のひとりが、みんなで写真を撮ろうと言い出しました。
ごく普通の、スナップ写真です。
ひとりがカメラマンを買って出る形で、交代で写真を撮りましたが、じゃあ帰ろうかという段になって、「視える」友人がいきなり、私の後ろにまわって強く背中を何度か叩きました。
はんばんばんばん!
「え、なに?」
と問いかけても、
「なんでもないよ」
という答。
別に気にもせずにいましたが、後日、その時の仲間から
「写真ができたんだけど……見に来て」
といいます。
そこで、週末集まる事になりました。
そこで見せられた写真は……。
はっきりと「手だけ」が余分に映っていたんです。
肌色で、華奢なつくりを考えると、女性の手ではないかと思います。
親指と他の指で○を作っているような形、つまり何かをつまんで引っ張っている形ですね。
その手は、一番外側に立っていた私の肩をつまんでひっぱっているように見えました。
そうなのです。
あのあたりにいた「悪いもの」が、私を海の方へ引っ張ろうとしていた、というのでした。
さすがにこれは、ぞわっときました。
写真は供養しておくから、ということで、勿論そのスナップはなかったことになりました。
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