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確かに失礼だが、事実には違いなかった。あえて怒気を含ませた声で、僕は尋ねた。

「その前に、お二人の名前を教えてもらえませんか? 僕は笹岩楓といいます」

 僕の質問に、両者は慌てた様子で答えた。

「す、すいません。流谷敦史といいます」

「……火津木志保です。突然声をかけてしまって、本当にごめんなさい」

 どうも調子が狂う。警戒してついていってみれば、警戒されているのは僕の方だ。

「……改めて聞きますが、僕にどういった用事があるんですか? あと僕に対して普通の人じゃないと言った理由は?」

「……あなたには、いえ、笹岩さんには本当に色々と失礼なことをしてしまって。でも、俺達もどうしたらいいのか、誰に相談したらいいのかわからなくて」

(相談……? 一体どういうことだ?)

 流谷と名乗った青年の表情はひどく強張っている。まるで誰かに見張られているかのように。

「困っていることがあるなら、その内容を具体的に教えてもらえませんか」

 僕がそう言うと、流谷さんはトカゲと思しき女――火津木さんの方をちらりと見て、

「……実際に見てもらった方がいいと思います。ごめん、志保。見せてあげて」

 流谷さんの言葉に火津木さんが頷く。火津木さんは左手を僕の方に伸ばした――その左手が、一瞬で真っ白な毛に覆われる。

「――これは」

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