第30話 タマネギを刻む君

言い過ぎた


君を疑うつもりなんか

これっぽっちもなかったのに

知らないヤツと楽しそうに

歩く君を見かけてしまったから


ついヤキモチを焼いて

言い過ぎた


弟だって

僕は顔を知らないし

紹介もまだだったから


君は台所にかけて行って

黙々とタマネギを刻んでる


心から想っているのに

君を悲しませるなんて


言い過ぎた

今の僕には後悔しかない


涙を必死でこらえている君を

背中から抱きしめて

そっと耳元で呟いた

ずっと言えなかった言葉を


愛してる


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る