第11話 さりゆく季節

さりゆく季節の中

とどまることを知らず

流れ流れて 夢の中


冬の朝には

音もなく降り積もる

雪を見ながら


夏の夜には

夜空に輝くいくつもの

花火を見ながら


ふたりの明日を夢見ていたね


溶けてしまえば ただの水たまり

燃え尽きてしまえば ただの星くず

ふたりで愛を育ててきたけれど

音もなく 崩れてゆく




さりゆく季節を超え

たどり着いたところは

昔むかしの 夢の中


春の陽だまり

ふたりしてよく行った

あの公園


秋の夕暮れ

肩寄せ歩いた

枯れ葉舞う中


ふたりの気持ちに嘘などなかった


忘れてしまえば それですむけれど

思い出にすがれば よけい哀しい

ふたりで愛を育ててきたけれど

音もなく 崩れてゆく



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