ひとひらの愛
震えている
怯えている
そんなものが結局
僕の現況
進んでるふうに見せておいて
傷痕はふと蘇る
時間はいつのまにか遡る
積み上げてきた分を
台無しにはせずに
低いところから狙い撃たれる
ささやかに積み上げても
積み上げても
射程内にいるうちは
またいつでも射られるから
せっせと積み上げて
不器用だから崩れて
それでも積み上げて
馬鹿みたいに繰り返してきた年月
繰り返し夢を叫び
愚者のように愛を求め
それなりに
屑なりに積み上げてきた年月
不器用だからまた台無しにして
まるで射られるためのように背を向けて
そうしてまた積み上げていく年月
今ここは
3分の1かもしれない
半分かもしれない
5分の4かもしれないね
わからないままに積み重ねて
たぶん赤字なんだろうね
せっせと背を向ける
進んでるふうに見せておいて
傷痕はふと蘇る
時間はいつのまにか遡る
積み上げてきた分を
台無しにはせずに
低いところから狙い撃たれる
ささやかに積み上げて
少しばかりの満足で
射られながら
祝おう
積み上がっていく日々を
そこにあるんなら
もうちょっと所在を明確にしてよ
結局まだ
求めている
これが最後のような気がしながら
いつもと同じように
きっと次も同じように
疲れちゃったなと
呟いてみれば
まるでここに
現実が存在しないかのように
空々しい
足は絡め取られている
疲れちゃったなんて
嘘ではないけど
そんな安っぽいものではなく
また同時に
死にたいと切に願えるほど深刻ではない
ちょっとばかり
疲れてしまったよ
ねえマーキー?
なんて愚かで
なんて空々しい
マーキーからの応答はない
彼女の名を呟いてみる
もうどんな名前だったか思い出せない
まるで幻だ
遠い遠い
はるか彼方に感じる記憶たち
そんなに昔じゃないんだけどな
現況の空々しさからすれば
隔世の感かもしれない
何にせよ
ひとりにしないでと
願い続けてきたことだけが本当で
叶ったり叶わなかったり
まちまちだったけれど
ひとつだけ言えることは
たぶんこれからも求め続けるんだろう
僕が僕である限りは
もしそれが満たされたとして
不足なく願いが叶ったとして
けれど
それを愛とは呼ばない
また今日も世界は回り
夜明けが訪れる
何回も何回も繰り返した嘆きの中で
それでも朝は訪れる
孤独の終わりで
苦悩の始まり
ただそれだけにすぎないサイン
陽は青白く世界を照らし
結局今日も昨日と大差ないんだよと
告げて回る
ごく稀に裏切られることもあるけれど
たいていは太陽が正しい
絶望の宣告で
希望のプロローグ
それを日々と言うなら
どんなにか酷薄で
容赦のない話
そして救い
今日は今日
明日は明日
未来は延長線上に過ぎず
飛び移ることはできない
未来は延長線上に過ぎず
転げ落ちることもない
だからそう
予定調和の孤独なんだよ
朝は訪れる
陽は青白く世界を照らし
結局今日も昨日と大差ないんだよと
告げて回る
朝靄の中で触れる
痛みと
労り
僕のがらくたの城から
優しい花が見えて
せめて今日だけはと
思いもする
命を織って
支度をすれば
生きるための僕がいる
もがくための僕がいる
ここは深く昏い奈落
よじのぼることも困難なら
わずかに差す陽で生を紡ぐ
時折、降り注ぐ雨で
喉を潤し
結局また叫ぶよ
それを生きていることだとは呼べないけれど
もう少し勘違いさせていてほしい
朝靄の中で触れる
痛みと
労り
僕のがらくたの城から
優しい花が見えて
思い出すこともある
明日に託した希望を
結局、あれはどこに消えてしまったのかな
でも
悪くはなかったよ
命を織って
名前を呼ぼう
震えている
怯えている
そんなものが結局
僕の現況
進んでるふうに見せておいて
傷痕はふと蘇る
時間はいつのまにか遡る
積み上げてきた分を
台無しにはせずに
低いところから狙い撃たれる
ピアノの旋律だけがいやに美しく
そぐわない哀しみをたたえる
結局ずっとこれが繰り返してきた景色の顛末
やっていることはずっとずっと昔から変わりなく
無秩序だけに惑わされる
それがこの無慈悲な世界の摂理
震えている
怯えている
立ち向かえなくて
横道にそれて
花を見つけることもある
無秩序だけに惑わされる
結局ずっとこれが繰り返してきた景色の顛末
またさらに横道にそれて
そこに沼を見る
ちょうどいい深さがある沼を
ピアノの旋律だけがいやに美しく
そぐわない哀しみをたたえる
結局ずっとこれが繰り返してきた景色の顛末
何度も
繰り返し
おそらくこれからも
生きているうちは変わらずに
やあ
ご機嫌いかがだろう
きみが紡いできた物語に
言葉のうねりに
何かしら意味を見いだすとするなら
それは確かにきみにとっての救いだったということだ
たとえそれが
絶望の形をしていたとしても
そして
誰かに届いていたことも紛れもない真実
そこから逃げてはいけない
その誰かは
救われたかもしれない
現実から逃げたかもしれない
もしかしたら
もう死んでいるのかもしれない
誰かに届いていたことは紛れもない真実
そこから逃げてはいけない
そしてきみは
どうせこれからも言葉を重ねる
誰を救えても
誰も救えずとも
視界に光があふれたとしても
哀しみを導き、誰しもが不幸になったとしても
それがきみの
原罪
そこから見える景色はどうだい?
いつかのあの日
きみは人造湖の向こうに沈む陽を見ていた
遮蔽物のない堤防で
風は強く吹きつけて
自分が矮小な命であることも忘れて
世界に挑もうとしていたね
それがきみの原初であり通過点
きみは今、どこにいる?
そして、どこへ向かう?
きみは罪を振り払えない
きみがきみとしてそこにいる限りは
それさえ受け入れてしまえれば
案外、光も差すのかもしれない
イミテーションだったとしても
暗がりにいるよりはずっといい
すぐそばに光はあるのかもしれない
それを認めることが
今、きみに必要な勇気なのかもしれない
不幸を受け入れることと同じように
幸福を受け入れることが
さあ
まだしばらくは続くだろう
先の見えないジュヴナイルの道程
きみのそばに
本当に希望はないのかい?
きみのそばに
本当に未来はないのかい?
一片でいい
愛を探している
背中を射られることも甘んじて
せっせと積み上げた分だけ
愛に近づくと信じて
ひとつ
ふたつ
日に日に臆病になりながら
一片でいい
愛を探している
背中を射られることになろうと
近づきたくて
みっつ
よっつ
積み上げて
途方もなくて
途中で失敗して
崩してしまって
またひとつ
またふたつ
背中の傷痕が
愛に近づいた証ならば
それもいい
けれど
途中に横道が見えたりして
無秩序だけが真実で
そこに希望はあるだろうか
そこに未来はあるだろうか
ずるをした気分で
覗きこむよ
愛の欠片
ひらりはらりと
ひとつふたつと
降り注ぐ季節に
きみを見るよ
それはいつのことだろう
あの日々か
まだ見ぬ明日か
愛の欠片
ゆるりくるりと
みっつよっつと
降り注ぐ季節に
きみを見るよ
その微笑みが
他のどれよりも
一片の愛に似ている
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