ありゃんせん
そんな大層なものではござんせん
ただの膿みでしかありゃんせん
膿みを出すには切らねばなりんせん
きちきち切って膿みをしぼりだすのです
痛みも伴うでありゃんせ
一度では済みませぬので
日をおいてまた一度
減らぬ減らぬのでございました
これはまったく悩みでありゃん
でもあなたゆめゆめ誤解しなしゃんせ
あなたが流してるのは血でありましたら
膿みではありゃんのでございましょう?
勝手に暗喩と思いこみ正当化に使われましたらたまったものでなき由に
また僕は吊るしあげられますゆえに
僕がしぼるのは膿みなれど
あなたが流すのは血でありゃん
もしかしてああもしかして
気づいてありゃんでありますか?
よき由に
悪きゆえに
くだらないのです
まったくくだらないのです
あなたが褒め称えているものに真の姿などありはしないので
まったく空虚なもの
うつろ
意味合いを持たぬ踏み潰されるなきがら
ただあなたが
意味を見い出したいので
価値を信じたいので
さもありゃん
悪き膿みではない由に
良き膿みではないゆえに
切って出さねばなりゃんせが
吐く吐息と同じこと
草の露と変わりゃんせん
あなたが見ていますれば
決めるのはあなたである由に
そのあなたを見ますのが
また僕でありますれば
膿みなれど
血なれど
膿みなれば
切って出さねばなりゃんせけれど
裂く痛みに耐えかねて
出さずころがしもてあそぶうち
愛しくなるのもまた理でありますりゃ
けれどああけれど
それではあなた見えぬでござんしょや
気づけぬままではあまりにも
僕が愛しむのは膿みなれど
あなたが愛しむのは血でありゃん
残念ではありゃんすが
切って裂いても治りんせん
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