物語について、心理的な部分と構造的な部分から
羊山 羊
第1話 物語は作者の空想
基本的に物語というのは作者の空想と技術、この二つの組み合わせから出来ています。
空想(アイデア)がなければストーリーや設定、キャラクターなど物語を構成するさまざまなことが思いつきませんし、プロットを組み立て話の論理的つながりが見えてても、いざ書くとなると全く形にすることができなくなります。
これではいくら技術的な部分が優れていても、物語を作り上げることは到底できません。(腕のいい料理人でも、材料がなければ何もできない)
逆にアイデアがあふれていても、ただ書きたいことを書き散らすだけでは物語に矛盾が生まれたり破綻する可能性が高くなります。さらにちょっとした物語の鉄則やお約束を知らないせいで盛り上げられるシーンが盛り上がらなくなり、せっかくのアイデアが無駄なものになってしまいます。
空想と技術は相互関係にあって、おきまりのパターンからふとストーリーが浮かぶこともありますし、浮かんだストーリーを技術を使って広げていくケースもあります。今回の話では空想の部分をピックアップし、物語の仕組みについて考察しようと思います。
物語の一部分が空想から出来ているのならその空想は何で出来ているのでしょうか?
結論から言えば空想とはその人の願望です。人は満たされない何かがあると空想でそれを補おうとし、満たされないと常にそのことばかり考えてしまいます。
例えるなら、空腹の人間は食べ物のことばかり考えますが、満腹の人間は食べ物のことなんてみじんも考えません。
貧乏人は金のことで頭がいっぱいになりますが、人並みに金を持っていればそうはなりません。モテる人間よりもモテない人間の方がやたら恋愛に執着します。
つまり、人間は基本的な要求が満たされなければ、そのことに執着する性質があって、そのため思考はそのことでいっぱいになり空想という形で現れる場合があります。
これが空想と願望の関係性です。
空想と願望にはもう一パターンあって今回はその内の一つを例にしました。空想と願望の関係性についてはまた別の話で書こうと思います。
物語は作者の空想、空想はその人の願望、これらを繋ぐと次のような式が成り立ちます。物語≒空想≒願望、つまり物語≒願望ということになります。
最初に書いたように物語は技術によって修正されていますし願望も直接的な形で空想になることはほとんどないので、=ではなく≒にしました。そしてそれらを踏まえると、空想+技術=物語となります。
要するに物語は作者の空想を素材に技術という修正を加えることで完成するのです。
逆にいえば空想という素材がなければ技術による修正も加えられないので基本的に物語は空想優位です。
ただ、作者よっては思いつくままに話を書いていく人もいますし、プロットが完全に完成してから書きはじめる人もいます。ですので空想と技術の割合は人によってかなりばらつきがあると思います。
次回はこれらの理論を使い面白さについて分析しようと思います。
まとめ
物語は空想+技術。
空想と技術は相互関係。
物語は技術より空想の方が重要。
空想を辿ると願望に行き着く。
願望は満たされないときに発生する。
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