ほんと短いです

西園寺けい

短編集:1

 ただ見てるだけ。

 そんな毎日で満足していた。


「あれ?神川?」


 そんな毎日に刺激が訪れた。

 それはある大雨の帰り。


「あ、佐々木くん・・・」


 雨予報を忘れて傘がないわたしは、玄関で外を眺めていると声をかけてきてくれた。


「傘ねーの?」


 ちょっとだけ期待する。

 もしかして・・・人生初の相合傘!!!??


「昨日から雨予報だったじゃん。よく忘れたなー」


 はは、と笑う佐々木くん。

 かっこいい・・・。


「ほら」


 相合傘きた!!


「じゃーな」


 想像とは違い折り畳み傘を渡された。


「佐々木くんどうするの!?」

「俺ダッシュで帰るから大丈夫!また明日な!」


 そう言って水たまりを走って蹴飛ばして、玄関からダッシュした。

 そんな姿もかっこよくて、思わず傘を記念にもらいたかった。

 でもいいきっかけだ!これで明日話しかけられる!


「ありがと、佐々木くん」


 明日、勇気出して声かけよう。


 絶対。


 いつもみたいに見てるだけじゃ、返せないしね。


 がんばろ!





end/kei_saionji

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