第8話 グダグダ斜女神 第4階層

学校に登校中の巧と望。

「んん!? なんだ!? このプレッシャーは!?」

巧は人間界に不吉な気配を感じる。

「こんな嫌なプレッシャーを感じるのは、初めてだよ!?」

望も巧と同様に人間界に蔓延る異様な気配を感じ取っていた。

「ドンドン近づいて来るぞ!?」

「奴は、次の曲がり角だ!?」

二人は曲がり角から出てくるプレッシャーに注視した。

「おはよう! 巧と望!」

曲がり角から出てきたのは、碧だった。

「なんだよ!? おまえか!?」

「碧くんに緊張して、損をした。」

二人は碧の登場にガッカリする。

「ええ!? なに!? 私が何かしたって言うの!? 酷いよ!? こんなの、あんまりだ!?」

碧は巧と望に抗議する。

「ごめんごめん。悪気はないんだ。」

「碧は感じないのか? この人間界に蔓延る違和感を?」

「違和感?」

碧はプレッシャーについて少し考えてみた。

「わかった! 天照大神姉上と瀬織津姫の夫婦喧嘩が違和感の正体だ!」

碧は尼寺須の妹で、姉と皇后の夫婦喧嘩は、よく見ているので、いつもビビっている。

「そうなんだ・・・。」

「なんか怖そう・・・。」

巧と望は碧の家庭環境に同情する。



学校の校門。

「ここが学校というところか?」

プレッシャーを与える者が、校門の前にいた。

「俺様が来たからには、グダグダ斜女神共を征服してくれるわ。」

そう、人間界でプレッシャーを与える違和感の正体は、邪悪なるある方のクシュンだった。邪念が魔界に戻ってこないので、魔王クシュン自らが人間界に乗り込んできたのだった。

「それにしても、邪念の奴は、どこにいったんだ?」

邪念は行方不明だった。

「ウラララー!」

「ワンワン!」

「なんだ!? 怪物か!? それともケンタウロスか!?」

その時、校庭を走る化け物と、その背中に乗る原始人の叫び声を聞いて、そのシルエットにクシュンは戸惑った。

「お、おまえは邪念!?」

なんと怪物の正体は、行方不明の邪念だった。

「く、クシュン様!?」

邪念も人間界に魔王クシュンが現れて驚いた。

「ナナメ、この悪そうな奴は知り合いなの?」

「このお方は、邪悪なるある方こと、魔王クシュン様です。」

「なんだって!?」

背霊寝はナナメの話を聞いて驚いた。目の前にいるのが、きっと悪役の邪悪なるある方、本人だったのだ。

「どうだ! 驚いたか! 俺様が世界を破滅に導く邪悪なある方だ! すごいだろ! ワッハッハー!」

クシュンは得意げに大笑いする。

「別に。」

背霊寝はナナメと楽しく遊んでいるので、クシュンに興味はなかった。

「なんだと!? この俺様から放たれる邪悪なる気配を感じないとでもいうのか!?」

「うん。」

背霊寝は邪悪なるオーラなど一切感じていなかった。

「なぜだ!? 普通の女神なら俺様のビンビンな邪悪なるオーラで立っているのもやっとのはず!?」

クシュンは背霊寝が平気なのが理解できなかった。

「教えてあげましょうか? 私は毎日、愛と美の女神アプロディーテーお姉さまの愛ある美しい邪悪なオーラから放たれるプレッシャーを受け続けているので、おまえみたいな小物からプレッシャーなど感じないのだ! わかったか! 三流品!」

背霊寝からすれば、魔王のプレッシャーなど、毎日の愛と美の女神アプロディーテーからいじめられることに比べれば、蚊が差したほどにも感じないのであった。

「苦労してるんだな・・・。」

「そうそう。大変なんだから。」

クシュンと背霊寝に同情した。

「背霊寝、何か言ったか?」

その時、背霊寝の背後から声がする。

「愛美露出手お姉さま!?」

「おはよう、背霊寝。ナナメ、よしよし。」

「ワン~。」

愛美露出手はナナメの4つある頭を撫でていく。撫でられたナナメはとても嬉しそうである。

「おまえが邪悪な女神! 愛美露出手か!」

「その通り。私が邪悪な愛と美の女神アプロディーテーの愛美露出手だ・・・ん!? 何か違うような? まあ、いいっか。」

細かいことは気にしない邪悪な愛と美の女神であった。

「このクシュンが、おまえを倒して、世界を平和に導いてやる!」

「いや、いつの間に立場が逆転してるし・・・。」

グダグダ斜め行く展開ばかりなので、これでいいのだ。

「くらえ! これが魔王である俺様の必殺技! ブラック・ダーク・アタック!」

クシュンが黒いオーラを愛美露出手に向かって放つ。

「なんだと!?」

しかし、黒いオーラは愛美露出手の手前で浄化されるように消え去る。

「私の地上の平和を思う愛と美の心の前には、いかなる攻撃も通用しない。わかったか! たわけ!」

第三次異世界大戦を終わらせた愛美露出手からすれば、魔王などミジンコに等しかった。

「こ、これほどの実力差があったとは・・・俺様の負けだ・・・。」

クシュンは魔王なのに、グダグダ女神に敵わない自分自身に自信を無くし諦めて戦意を無くしてしまう。

「おまえにチャンスをやろう。」

「チャンス?」

「ボーイズラブスタートの作品なのに、男子生徒が3人しかいない。おまえを4人目の男子生徒にしてやろう。」

「男子生徒!?」

そう言うと愛美露出手はクシュンに魔法をかける。

「男子生徒になあれ!」

「ギャア!?」

クシュンは魔王の姿から、学校の制服を着た男の子に返信する。

「おまえの名前は、魔神渉だ。」

「魔神渉!?」

意外にカッコイイ名前になった。

「いいか? 学校では生徒は先生に絶対服従しなければいけない。決して男子生徒とダラダラ斜女神の禁断のスクールラブなどしてはいけないのだ。わかったか?」

最近、教師と生徒のスクールラブものが多すぎて、もう10年はウケないだろう。

「アプロディーテー様に忠誠を誓います。」

「私は人間界では、愛美露出手だ。女神の名前で呼ぶことは禁じる。」

「かしこまりました。愛美露出手様。」

こうして魔王クシュンは魔神渉になった。

「おはようございます。」

そこに巧と望は碧の3馬鹿トリオがやって来た。

「鴨が葱を背負ってやって来たな。紹介しよう、今日から、おまえたちの仲間になる魔神渉だ。仲良くしてやってくれ。」

「俺様は魔神渉だ。よろしく。」

「なんか・・・偉そう・・・。」

「やだ。誰も私と巧くんの間には入れませんよ!」

「クリスマスのサンタクロース衣装を、もう一着作らなくっちゃ。」

魔神渉に対する反応は様々だった。

「キーンコーンカーンコーン!」

その時、始業のチャイムがなった。

「全員、教室に入れ!」

「は~い。」

みんな、グダグダ教室に入っていった。



教室。

「僕は時神巧。よろしく。」

「私は巧くん命の愛神望です。」

「僕は機神碧。アニオタだよ。」

「俺様は魔神渉。カッコイイ名前に人間生活もいいかなって思ってる。」

それぞれが自己紹介し、男子生徒が4人になった。

「渉は、以前は何をやっていたの?」

「魔王。」

「ハハハハハ! 冗談ばっかり!」

「だよな! ワッハッハー!」

彼らは同世代の男子生徒ととして打ち解け、すぐに仲良しになった。



学校の中庭。

「いいな・・・私も男子生徒になりたい。」

魔王クシュンが男子生徒役をゲットしたのを羨ましがっている、以前にちょい出演した毒の神、死の神、堕天使のサマエルが旧友に相談していた。

「愛美露出手お姉さまに頼んでやろうか?」

サマエルの旧友、毒の女ことネヴァンの値盤は、今では女神教師の一員として生真面目でグダグダした職員室を引き締めるオチの立場を得ている。

「いいのか!?」

「それぐらいお安い御用さ。私たちは友達でしょ。」

友情・友達関係もグダグダ斜め展開の中では、値盤の周りだけは正常であった。

「ありがとう! ネヴァン! 我が心の友よ!」

「任しといて!」

値盤は安請け合いをしたのだが、天下無双の愛美露出手お姉さまは気まぐれであった。



その頃、地中。

「これは何かの陰謀だ!」

地中でもグダグダ毒を吐いている連中がいた。

「我々はレギュラーと思ったら、次の話から出ていないんだぞ!?」

一人目、闇の妖精ドヴェルグ。

「おかしいホビ! 絶対におかしいホビ!」

二人目、ホビットのホビちゃん。

「ドワちゃんなんか、事故に巻き込まれたレベルドワ! これなら出てない方がマシドワ!」

三人目、ドワーフのドワちゃんであった。

「我々も男子生徒でいいから、擬人化したい!」

「そうホビ! 小人にだって、チャンスは平等にあるべきドワ!」

妖精と小人たちの心の叫び声であった。

「どうすれば人間になれるかな?」

「知り合いは巧と望たちだホビ。」

「あいつらに頼むのは不安だけど、仕方がないドワ。」

ということで、彼らは巧と望に会いに行くことにした。



職員室。

「なんだか転入希望者が急に増えたような・・・。」

愛美露出手は転入希望者のリストを見ていた。

「愛美露出手お姉さま。そろそろ、面接の準備ができました。会場にいらしてください。」

「わかった。すぐに行く。」

雑用係の背霊寝が呼びに来た。

「生徒を募集し過ぎたかな?」

「男子生徒だけじゃなくて、女子生徒も募集するからですよ。犬も猫も人間になれるんだと喜んで応募してくるんですから。」

生徒数が足らなくて廃校になりそうな学校並みのグダグダな生徒募集に、グダグダなメンバーが応募してきたのだった。

「背霊寝、その言い方は、まるで私の募集が悪かったみたいじゃないか?」

「え!? 違うんですか?」

「背霊寝はナナメと一緒にグランドを100周してこい。」

「ええ!? 100周ですか!?」

口は災いの元であった。



こうして、転入生徒の面接会が始まった。

「死の神、毒の神、堕天使のサマエルです。」

値盤の友達のサマエルがやって来た。

「二つも神ネームがある。毒神でいくか、死神でいくか悩むな。それとも死堕、毒天・・・転入、辞めとくか?」

「なんで、そうなるんですか!?」

愛美露出手は面倒臭いと、すぐにグダグダするのであった。

「愛美露出手お姉さま。」

「なんだ? 値盤。」

「彼が先に報告した私の友達です。」

「ああ! そうか! 値盤のグダフレか!」

グダフレとは、グダグダした友達の意味である。

「サマエル採用! 転入を許可する。今日から毒神昴として、男子生徒五人目として、我が化身、望とその愉快な仲間たちと楽しくグダグダするとよい。」

「ありがとうございます。愛美露出手様に忠誠を誓います。」

こうしてサマエルは無事にコネの裏口入学できたのだった。

「よかったね。サマエルの毒神昴くん。」

「ありがとう。これもネヴァンのおかげだ。」

その時、値盤は昴の頭を叩く。

「タメ口とは何事だ!? 私は女神教師の値盤だぞ! おまえは男子生徒なのだから教師に対してタメ口するなら、粛清してくれるわ!」

「殴ったな!? 教育委員会に訴えてやる!」

「教育委員会が怖くて、教師がやってられるか! 教育委員会でも、保護者でも何でも来いって言うんだ! 私には愛美露出手お姉さまがいらっしゃるのだ!」

「クソッ!? 今日のところは見逃してやる! 覚えていろよ!」

「フッ、きれいに忘れたさ。」

このグダグダな物語では愛と美の女神アプロディーテーの愛美露出手が絶対である。愛ある美しいは正義なのである。


グダグダ。


教室。

「ということで、どうすれば我々も生徒役に擬人化できるのか、検討してほしい。」

「愛と美の女神アプロディーテー様にお願いしてほしいホビ。」

「おまえ愛美露出手様の化身なんだろドワ? 」

闇の妖精ドヴェルグ、ホビットのホビちゃん、ドワーフのドワちゃんが巧たちの教室に現れた。

「んん~、難しいな。なあ、望。」

「そうだね。巧くん。愛美露出手様は気まぐれというか、グダグダしてるからな。」

「確かに気分次第の女神だからね。愛美露出手様はお金に目が暗む人じゃないからね。」

「俺様がグダフレ申請して、裏口入学させてやろうか?」

その妖精と小人たちという小動物の話を時神巧、愛神望、機神碧、魔神渉の四人が話を聞いていた。

「ウララー!」

その時、グランドで罰として背霊寝とナナメがグラウンド100周をして、ジャングルの王者並みにうるさかった。

「背霊寝先生は相変わらず、うるさいな。こんなにうるさいと良いアイデアも思いつかないよ。」

「我々に任せろ。その間に良いアイデアを考えろ。いくぞ、ホビドワちゃん。」

「おお!」

教室の窓から三人は飛び出していった。


グダグダ。


「愛美露出手様め、いつか寝ている時に落書きしてやる。」

「ワンワン。」

背霊寝の逆襲に高校の番犬のナナメも賛成だった。

「ギャア!? なんだ!?」

「ワン!?」

突如、地面に落とし穴が大量に現れ、背霊寝とナナメは戸惑って立ち止まってしまう。

「とどめだ! ダーク・ドロップ!」

通称、闇落ちという闇の世界に葬り去る闇系の日常攻撃である。

「うわあ!?」

「ワン!?」

背霊寝とナナメは、いきなり現れた闇の渦に呑み込まれて、闇の世界へと消えてしまった。


グダグダ。


「なんなんだ!? 小動物たちの異常な強さは!?」

「危険すぎて、巧くんのクラスメートになんかしてあげられないよ!?」

「ええ~!? 妖精さんと小人さんたちのトナカイコスプレ衣装も作ったのに。」

「私の元邪念が!?」

四人の男子生徒は妖精さんと小人さんの恐ろしさを知ってしまった。

「このままでは、ボーイズラブの危機だ!?」

「巧くんのピンチだ!?」

「コスプレ衣装代を返せ!?」

「俺様の出番が減るじゃないか!?」

四人の男子生徒は今、目の前にある危機を悟った。

「あいつらを生徒化させてはダメだ!」

「おお!」

四人の男子生徒は一致団結して、妖精と小人たちの擬人化を阻むことにした。


グダグダ。


「サマエル以外はロクな奴がいないな。」

愛美露出手は転入面接を行っているが、サマエル以外は犬や猫、アリにミジンコしか面接を受けに来ないので退屈して、グダグダしていた。

「もう次の新作に取り掛かっているし、早くグダグダ斜女神を書き終えて、グダグダ温泉旅行にでも行きたいんだよね。温泉と女神の入浴シーン、これだけで豚共が喜ぶだろ?」

愛美露出手の秋は温泉だった。

「宛名、温泉の予約を頼む。」

「分かりました。教職員の慰安旅行にして、税金で宴会して楽しみましょうね!」

「さすが宛名だ。よく分かっているが、しかし甘いな。」

「どういうことですか?」

「公募入札にしよう。大人気のグダグダ斜女神が宿泊に来るとなれば、草津や別府、有馬など日本全国の温泉旅館から、アニオタの宿泊予約が1年中はいるだろうから、無料招待してもらっても罰は当たらない。ワッハッハー!」

「グットアイデアです。御代官様には敵いません。」

「何を言う桔梗屋、そなたも中々の悪よのう。」

「キャッハッハ!」

アニオタの聖地化して、得をしようというWINWINの愛美露出手の愛ある美しい計画であった。

「生徒数の不足は、10人ぐらい過去キャラからの使い回しでいいだろう。」

「これで廃校も免れますね。文部科学省に申請しておきますね。」

「全女神教師のみなさん! 温泉でグダグダする準備をしておいてくださいね!」

「はい! 愛美露出手お姉さま!」

生徒数極小の廃校問題もグダグダで解決するのであった。


グダグダ(⋈◍>◡<◍)。✧♡


裏門前。

「巨大ロボットになって、地球を守って自爆した私が、まさか、また高校に通うことになろうとは・・・。」

校門の前に5、6人の女生徒がいる。女子高生なのに巨大ロボになれる不思議な少女、佐藤さくらである。

「やはり神は私を見捨てなかったのね! ワッハッハー!」

この頭のおかしいのが大天使ミカエルの美歌恵流。

「お芝居にしか興味ない。」

クールビューティーなのが、最強の竜バハムートの刃覇夢徒。

「ケンカしないでくださいよ、先輩方。」

先輩と呼ぶのは形だけの小悪魔ルシファーの瑠詩富亜。

「手矢的先生とキャラクターが被るんだけど、いいのかな?」

手矢的程食いしん坊ではない最強の獣のベヒモスの辺陽藻栖。

「兵長と呼ばないで! ゴホゴホ。」

病弱でも最強の生物リヴァイアサンの璃羽威亜紗。

「やったー! ついにやったぞ! 冒頭から私も登場できるなんて! うおー!」

絶叫して出世を喜んでいるのが最強の鳥ジズの慈豆。

「私たち、渋谷塚高校歌劇団部!」

歌劇団部の部員たちの決めゼリフと決めポーズが炸裂する。恥ずかしい羞恥心など、演劇の世界で生きる彼女たちには関係ないのだ。見られてなんぼの歌劇団部員であった。

「でも、私たちが登場していいのかな?」

「構わないわ! だって愛美露出手だって、元々は佐藤さくらの謎のキャラクターなんだから! 立場は私たちと互角よ!」

「同じ高校だ! きっと体育館には歌劇団部の大階段が残っているはずだ!」

「死人が生き返ったら、こんな感じなんでしょうね。イヒ!」

「食堂のおばちゃんも同じ人かな? おいしいカレーライスが食べたいな~。」

「私は病弱なお嬢様の役だったはず!? ゴホゴホ。」

「ハゲタヌ隊長は元気にしておられるかな?」

一度に6人もキャラクターが新登場すると話が、グダグダしてきて進まないのであった。

「とりあえず、部活動には早いから教室に行こうか。」

「ええ~。」

文句を言いながらも6人の女子生徒は教室に向かうのだった。


グダグダ。


グラウンド。

「うるさい女神と番犬は闇に消し去ったから、教室に戻るとするか。」

「おう! ホビ!」

「生徒役をゲットするドワ!」

闇の妖精ドヴェルグ、ホビットのホビちゃん、ドワーフのドワちゃんは背霊寝とナナメを倒し教室に戻ろうとした。

「ちょっと待った!」

その時、妖精さんと小人さんたちを呼び止める声がする。

「誰だ!?」

小動物たちが振り返ると、そこには小動物がいた。

「地球防衛隊の隊長、タヌポン隊長とは、私のことだ!」

なんと! 歌劇団部の部員だけでなく、タヌポン隊長まで再ブレークするのであった。

「知らん。」

「知らないホビ。」

「ドワちゃんたちは人間になるために必死なので、タヌキに構っている暇はないドワ!」

小動物たちの態度は冷たかった。

「フッ、この地球防衛隊の隊長である私を邪険に扱っていいのかな? 私は元々は人間だったのだぞ!」

タヌポン隊長は、いきなりのカミングアウトをする。

「なんだって!? タヌキのぬいぐるみ隊長のくせに、元々は人間だっただと!?」

「すごいホビ! 憧れるホビ! カッコイイホビ!」

「どうやって人間からタヌキに降格したのか知りたいドワ!」

妖精さんと小人さんたちは、タヌポン隊長に、ある意味、興味津々だった。

「私に歯向かったことを後悔させてやる! いでよ! アニマルンジャー!」

「なんだと!?」

説明しよう。アニマルンジャーとは、タヌポン隊長を含めた小動物5匹の正義の戦隊ヒーローである。

「何も出てこないんだが?」

「あれ? おかしいな? どうして出てこないんだ?」

説明しよう。アニマルンジャーの小動物たちは愛美露出手によって再登場を許可されていない。タヌポン隊長が再登場すること自体がイレギュラーなケースだったことを、タヌポン隊長本人が自覚していない。

「それなら、これでどうだ! いでよ! タヌポンジャー!」

「なんだと!?」

説明しよう。タヌポンジャーとは、タヌポン隊長を含めたタヌキ5匹の正義の戦隊ヒーローである。

「何も出てこないじゃないか?」

「ええ!? どうしてだ!? なぜ出てこないんだ!?」

説明しよう。タヌポンジャーのメンバーも愛美露出手に再登場のお許しをもらっていないからである。

「おまえ、タヌキの分際でよくも我々を侮辱してくれたな。」

「覚悟するホビ!」

「ブラックスミス・オブ・ナイトの名に懸けて、タヌキ鍋にしてくれる!」

妖精さんと小人さんたちは攻撃準備をする。。

「ごめんなさい! これでも元々は人間だったんです!」

自分の偉ぶった態度を土下座で反省をアピールするハゲタヌ隊長。

「闇に消えろ! 闇落ち!」

「人間!? すごいホビ! と言いつつのハンマー・ぽい・ホビ!」

「土と風と火と水よ! ドワちゃんの復讐に力を貸したまえ! マジック・ソードワ!」

「ギャア!?」

妖精さんと小人さんたちの攻撃が悪のタヌキに命中した。こうして平和は守られた。

「これだけ活躍すれば、愛美露出手様も我々を擬人化して生徒にしてくれるだろう。」

「わ~い! 人間になれるホビ!」

「ドワちゃんは、人間が嫌いなんだが仕方がないドワ。これも出番のためだドワ。」

説明しよう。ドワーフのドワちゃんは人間の再開発により、ドワーフ王国を滅ぼされ、人間に逆襲しようとする最後の生き残り出会った。ホビちゃんは、ただの友達役であり、闇の妖精ドヴェルグは、どちらかというとドワーフの害になる存在だったが、みんな仲良しさ。


グダグダ(⋈◍>◡<◍)。✧♡


教室。

「天使の輪っかに純白い羽! ホワイトファンタジー! 美歌恵流!」

元々大天使の美歌恵流は佐藤のカンペに抵抗なくスラスラと恥ずかしいセリフとダンスと決めポーズができる。

「漆黒のボディに黒龍の翼! ブラックファンタジー! 刃覇夢徒!」

元々最強の竜の刃覇夢徒はシャイなので抵抗があるが、地球の平和を守るために覚悟を決めた。

「可愛い猫耳に矢印尻尾! ダークファンタジー! 瑠詩富亜! わ~い! 決まった!」

元々大悪魔の瑠詩富亜は極悪な悪魔ではなく、可愛い子悪魔的な悪魔にしておいて良かった。

「牛やカバと呼ばないで! 牛乳もカレーも大好き! イエローファンタジー! 辺陽藻栖!」

元々最強の獣の辺陽藻栖は戦隊シリーズに1人はいる食べ物担当。

「普段は病弱! 水のある所では最強! 決して兵長と呼ばないで! ブルーファンタジー! 璃羽威亜紗!」

元々最強の生物の璃羽威亜紗は近くに水がある所では強かった。

「5人合わせて、異世界戦隊! ファンタジー!」

個人個人の紹介を終えて5人は決めポーズを決める。若干、刃覇夢徒だけは恥ずかしそうだった。

「私、参加してなくて良かった。」

「これやるなら、出番が無い方が幸せだよ!?」

佐藤と慈豆は異世界戦隊ファンタジーのメンバーではなかったので、決めポーズと決めゼリフは免除である。

「・・・。」

「はあ!? 巧くんが汚いものを見て、立ったまま気絶している!?」

「戦隊ヒーローのコスプレですね!?」

「痛い・・・痛すぎる。」

男子生徒たちは、いきなりの女子生徒7人の登場に、メデューサに石化されたかのように言葉を無くしていた。

「誰が汚いですって!?」

美歌恵流は大天使を愚弄する望をターゲットにする。

「巧くんが気絶してるんだぞ! おまえたちが悪いんだ!」

「・・・。」

巧は、まだ気絶したままだった。

「んん!? 私にプレッシャーを与える、あなたの気配は・・・人間じゃない!? いったい何者なの!?」

美歌恵流は望の人間らしかねぬ気配を感じた。

「フフフッ、よくぞ見抜いた! 私は愛と美の女神アプロディーテー様の化身であるぞ! ワッハッハー!」

望は主の名前を笠に着る。

「それで?」

美歌恵流は、まったくビビらなかった。

「それでって!? 私を怒らせるアプロディーテー様が黙っていないぞ! 怖いんだぞ!?」

望は恐れを知らない美歌恵流が不思議だった。

「それがどうしたのよ! なぜなら! 愛と美の女神アプロディーテーは、私たちが倒したのよ!」

そして女神教師として再登場したのだった。

「なに!? そんなばかな!? 最強最悪のアプロディーテー様が、こんな女子高生になっても戦隊ヒーローごっこをするような幼稚な連中に負けるなんて!?」

望は主であるアプロディーテーが負けたことにショックを受ける。

「だれが最強最悪だ。」

「愛美露出手様!?」

その時、温泉に出発前の愛美露出手が現れる。

「久しぶりだな。私の可愛い生徒諸君。」

「おまえは愛美露出手・・・。」

愛と美の女神アプロディーテーの登場に、さっきまで威勢の良かった美歌恵流も緊張する。

「先に言っておくが、学校では教師の言うことは絶対。もし歯向かえば停学・退学処分にするぞ。教育委員会に言ってみろ? 全てもみ消してくれるわ。」

「くうう・・・。」

女神教師である愛美露出手の脅迫に、女子生徒の美歌恵流は手も足も出せない雪だるま状態に追い込まれた。

「いいのか? 性教育と美術の担当の私は女子生徒の制服を脱がすことも合法的にできるのだ! それでも私に歯向かえるというのか!」

「クソッ・・・完敗だ。」

美歌恵流は愛美露出手の威圧的な言葉に負けを認めるしかできなかった。

「さすが愛美露出手様! 異世界の凶悪な擬人化共を手玉に取る狡猾な手段! さすが女神の中の女神です!」

「誰が狡猾だ、誰が。」

これでも望は愛美露出手の化身であった。

「それでは愛ある美しい女神教師、愛美露出手が命じる! 次回、描くか、どうかは知らないが、渋谷塚高校は・・・温泉に修学旅行に行く!」

「しゅ、修学旅行!?」

愛美露出手は男女の生徒に修学旅行で温泉に行くというが、本当は自分が温泉でゆっくりしたいのだ。

「さあ、みんな! バスに乗り込め! 温泉で乾杯しよう!」

いつの間にかグランドには修学旅行用の観光バスが止まっていた。

「おお!」

と言っても、女神教師8人、男子生徒5人、女子生徒6人の19人だけのはずである。

「巧くん、こんな展開でいいのかな?」

「いいんじゃない。グダグダがメインの物語だもの。」

「温泉で着る浴衣を縫わなくっちゃ。」

「俺様は温泉たまごを作るぞ!」

「初めまして! 毒神昴です! やっと出番だ! なんてキャラクターが濃ゆくて、登場するのが難しい作品なんだ!?」

この物語は女神が斜めにグダグダする作品である。

「がんばるのよ! サマエル!」

値盤は陰から涙をこぼしながら、友達のサマエルを見守っていた。

「まあ、いいか。巧くんと一緒なら。」

「望、温泉旅行では、おまえを眠らせないぞ。」

「巧くんはテクニシャンだね。キャッハ!」

グダグダの中にも巧と望は仲良しさ。


つづく。

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