紅い月の満ちる夜に。

空唄 結。

終わりの日々の始まり、

 喉が、渇く……。


 欲しいもの、は、1つだけ。渇望して止まないそれは、目の前に横たわっている。震える指先で触れようと、

 いや、だめだ、それじゃ、奴等と、おなじ、に、


「おま……をき……きには……しな……」


 呪詛の言葉に縋るしかない。

 あぁ。渇く。渇く。渇く。この渇きを癒せるのは、お前だけだというのに……

 理性を保て。野生になるな。奴等と、同じになんか、なるな。


 私は自らを律する。鈍く光るナイフを自分の左腕に深く深く突き立てて。

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