異世界で始めて叶うその気持ち

ミャウん

異世界で紡ぐ想い


「ふぅー今週も終わったぁ」

時刻は午後十時 仕事は終わり後は帰るだけだ。


「お先に失礼します」


後輩から、手伝ってくれないのかと批難されたが、知ったことではない。「頑張れ」とだけ言って会社を出る。


「飯は食って帰るか…」


俺には家で待つ恋人も、家族も居ない。俺を待っているのは一週間ぐらい前に頼んだ荷物ぐらいだ。


行きつけの安いラーメン屋に入り、いつもの安いラーメンを食べて帰宅した。


…がちゃ


「ただいま」


なんとなく何かの気配がしたので挨拶してみる。ちょっと怖かった。


そのまま風呂に直行し、今日の疲れとストレスと抜け毛を洗い流した。俺はまだ二十代後半なのに…


お風呂から上がり、いつものようにアイス片手にリビングに向かう途中、

奴がいた。

奴だ!Gだ!その瞬間俺はアイスを落とし、机の上にあった新聞紙を握り締めていた。


次の瞬間新聞紙は残像を残しながら、奴に向かっていた。しかし、奴も歴戦の猛者だ。

それを当然のように避けるとこっちに突進して来た!

「うわっ!あぶねぇ」

危機一髪でそれを避ける。


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「今だ!喰らえ!」

またしても避けられる。

かれこれ一時間以上闘っているが、奴に疲労の色は見られない。

それに引き換え俺はもうクタクタだった。

だがしかし、このまま放置してぐっすり寝れるだろうか?否だ!断じて否だ!

奴はここで始末しておかなければならない


たとえ俺の睡眠時間を犠牲にしても!


更に一時間後

時刻はすでに午前三時をこえていた…

だが、やつを袋小路に追い込むことに成功した。後は慎重に距離を詰め、一撃を打ち込むだけだ。


今思えばその考えがフラグだったのだろう。


奴は奥の手を使いやがった!飛んだ、飛んだのである。


「うおぉ!」


一瞬気を取られた隙に奴はテレビの後ろに入って行った。


「くそ」


時刻は既に午前6時 ようやくテレビをどかした先に奴はいた。


「安らかに眠れ…友よ…」


スパァアアアン


因縁の戦いは今幕を下ろしたのだ。


「ふう、やっと寝れるな。 ん?なんだこの穴!!ってあれ?やばい睡魔が、、」



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「…ん?今何時だ?」


時刻は既に午後一時


「まじかぁ」


とりあえずなんか飲むか。

確か冷蔵庫に牛乳が…


「あったあった… あれこれいつ買ったっけ?」


まあ良いか

それよりなんか忘れてる気が…


「あっそうだ!穴だ!穴を見つけて…」


テレビの後ろを見た

そこには緑の小人が居た。


「え… ふぁ、ファンタジー…」


「ぐぅああ?」


緑の小人はこちらに気づいたようだ。

手には木の槍を頭には汚い錆びた兜を纏っている。


「え… ご、ゴブリ… うわっ!」


緑の小人はいきなり木の槍を投げて来たが、

昨晩の死闘により俺は確実に進化していた… と思う。華麗?に避けた。


「ぐるぅぅ」


お互いに一定の距離をとりながら睨み合うこと10分。


「やばい… さっきの牛乳か…」


俺は第三者の攻撃によってダメージを受けていた。


「早く…早くセーブポイントトイレへ」


俺はもう限界だった。もう色々と限界だったのだ!


「トイレに行かせろぉおお」


睨み合いを破ったのは俺だった、直ぐさまそこに落ちていた槍を手に取りゴブリンを刺していた…


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その後、セーブポイントにおいて第2ラウンドを制しリビングに戻って来た。


「えっ?死体がない?あいつは死んでなかったのか… ?」


だがそこには槍とゴブリンがかぶっていた兜、そして変な石が落ちていた。部屋に残ったのはそれと、散らかった家具、そして紫色の血だけだった。


「うーん」


状況を整理するか…

先ずGと戦い穴を見つけて、そのまま寝ちゃって、朝起きて、穴見たらゴブリンがいて、倒してトイレ行って帰って来たらこれだけ落ちてる…と


「俺の家の穴どこにつながってん… ?」


そこから俺はその穴を調べた。


「わかったことは… この穴異世界に繋がってるわ。」


なんでだよ


「えっ、いやまずどうしよう?」


とりあえず。この穴どうにかしないと、またさっきのゴブリンみたいなの出てくるかもしれないよなぁ


「塞ぐか?」


でも壊されたら怖いし、何で塞ぐんだよ…


「うーん」


この部屋を要塞化するしかないな…


そこから半日俺の部屋要塞化作戦が実行された。


「まず、このテレビ退かして… ああ、この部屋のもの全部か…」


二時間後、穴の空いた何もない部屋が出来上がった。


「うーん、武器はいるよなぁ」


家中から武器なりそうなのを集めた。


木製バット×2 箒×1

金属バット×1 ゴミ箱の蓋×2

包丁×2 ペンチ(大)×1

ゴルフクラブ×1セット ペンチ(小)×2

殺菌スプレー×3 傘×3

ハサミ×2 木の槍×1 new


「こんなもんか…」


そして扉のところにバリケードとして棚を設置した。

幸いこの部屋の窓は小さく高いとこにあるため、大丈夫だと思う…


「木の槍を持って穴に近づいてみるか…」


そう思った瞬間、さっきと似たような格好のゴブリンが二体入って来た。


「くそっ、いきなり二体かよ…」


一体目 木の槍 ボロボロの布

二体目 錆びた棒 ボロボロの籠手


「よし、一体目をゴブタ、二体目をゴブロウとしよう…」


やっぱり先にゴブロウか、それとも…


「うおっ、ゴブロウ突っ込んで来やがった!」


木の槍を構え(構え方とか分からないので前に出しただけ)、ゴブロウを待ち受ける。


「ごるぅう ぐぁ!」


いきなり錆びた棒で木の槍を叩き割られた…


「くそっ、こうなったら目には目を金属には金属をしかないな」


金属バットを掴もうとした瞬間、


「ぐるぅああ」


横から木の槍が俺の腕に叩きつけられた…


「ぐぅ!いってぇえ!」


くそ痛え、二体いるの忘れてた…

咄嗟にそばにあった箒を掴みバリケードの外に出た。


箒を構え20分 出てこない… ?


箒をおいて、

バリケードを外しドアを開けてみた。


「ぐぁああ!」「ごぉあ!!」


跳びかかってきた!!


「うわ!」


急いで扉を閉めようとしたが足元の箒を踏んで転んだ…


咄嗟に目をつぶっていた… が何も起きない。


ゆっくりと目を開けた先には、部屋の区切りのところに張り付いてるゴブロウとゴブタがいた…


「もしかしたら、こいつらこの部屋からは出られないのか…?」


試しに部屋の外から箒で突いてみる。


「ぐぁあ」


後ろに転がってから、こっちに跳んでくるが見えない壁のようなものに阻まれた。


「まじか…」


「とりあえず武器部屋の中に置いてきたし買いに行くしかないか…」


そのままの格好で近所のホームセンターに来た。


「うーん何がいいか…」


やっぱり遠くから当てれて殺傷能力が高いものがいいよな…


「お客様?何かお探しですか?」


「あー、はい。なんか殺傷能力の高いものってありm…」


しまった!ジャージ姿でホームセンターきて、殺傷能力高いもの探してる男とか…


「…えっ?殺傷能力ですか…??」


「えっいや… えーっと、うちの畑に害獣が出て…」


「あ!そうでしたか!しかし、それなら専門の業者に頼んだ方が…」


「あー、護身用ですよ護身用…」


自分でも何言ってるのかわかんなくなってきた…


「…そうですかぁ、それですとこちらの農業用エアガンはどうでしょうか?有効射程が100mと長く畑の隅々まで守れますよ!

実は私も、実家に畑がありまして、害獣には困らせられましたよ…」


「…100mも要らないなぁ」


「でしたらこちらの拳銃タイプはどうですか?持ち運びは簡単ですよ?こちらは有効射程が30mほどですね」


「おお、それをくれ。あと…」


そのほかにも、護身用のスタンガン、木刀、園芸用の刈込み鋏、20ポンドのスレッジハンマーを買い家に帰る。 重い…


午後6時 帰宅


部屋のゴブロウ&ゴブタが出てきてないことを確認してから、夕飯を食べる。


今日のメニューはカツ丼だ。



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「ふぅー、そろそろ行くか…」


装備を固め部屋に行く。


俺 右手 エアガン

左手 木刀


なんか中学生のフル装備みたいだなぁ


「まあいい、行くか」


「ぐるぅあ!」「ごらぅ」「ごろぉお」「がるぅ」


ん?増えてない?


なんで一、二時間で二匹も増えるんだよ…


「いけるかなぁ」


ハンドガンを構え撃つ。


パンパンパン、パンパンパン


「ぐぁ」「ぎゃぅう」


これって効いてそうだけど、死ななくね??


と思いながらも安全地帯からハンドガンを打ち続けた。


ちょうど1マガジン分ゴブロウに撃ち尽くしたところでいきなりゴブロウが消えた!


「ぎゅうああ」


「え」


「消えたし、石も落ちてるし死んだってこと?」


まじかこれ楽だな…


その後も順調に倒していき、ドロップ品を漁っていた。


「今回の戦利品は…」


ゴブロウ 錆びた棒 錆びた籠手 謎の石

ゴブタ 木の槍 ボロボロの布 謎の石

増援1 木の槍 錆びた盾 謎の石

増援2 錆びた棒 錆びた金属靴 謎の石


なんか全体的にボロいな… 要らね

それにこの謎の石5個もあるけど何に使うんだろう…


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それから数週間… とにかく湧いてきたのを潰していた。


ふと気になった、あの穴の向こうって何があるんだろ…


よし!今度行こう


この為だけに今まで貯めてきた有休を全部使い、登山用品店で動けそうなふくとアウトドア用品を買い、準備に一月かけた。


「よし!最終確認だ!」


まずは荷物


バックパック:ライター×20、タオル×3、鋏×2、携帯食料×一カ月分、水筒×1、紐×3、袋×10、手袋×3、シート×1、テント×1、懐中電灯×3、

台車:ボストンバック:農業用エアガンセット

(ハンドガン、ライフル、弾倉×20、弾×20000、ハンマー×1、スタンガン

×1、木刀×1)

:布袋:錆びた棒×5、錆びた盾×2、錆びた 靴×3、錆びた防具×1、錆びた槍×2、謎の石×31


有休:10日分→土日祝日合わせて15日間


「よし!準備完了!」


行こうか!異世界!


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穴をくぐって顔を上げたら森だった。


「異世界だなあ… やっぱゴブリンとか似合うよなぁ」


「動くな!!」


なんだ?後ろからか


「貴様!何者だ!何もない場所から出てきおって… ゆっくりと立ち、こちらを向け!」


第1村人発見か?この穴が見えてないのか?まあ、見えてたとしても怖いよなぁ


「おい!早くしろ!」


俺はゆっくりと振り返った。

そこに居たのはフルプレートを着て槍を持った衛兵だった…

衛兵とか絶対きついだろうなあ


「親近感が湧くなあ…」


「何を言っている。それよりお前はどこから来たのだ」

「別に脅すつもりはないですよ?どこから来たのですか?」


あーまずいな… なんて言えばいいのか


「あーえっと東の方です…」


「なんだクロノスの方から来たのか?あそこもいいところだよな?何しに来たんだ?」


「えーっと出稼ぎ?です」


「そうですか!頑張って下さい!ところで一人で森を抜けれますか?」


ゴブリンだけなら大丈夫だけどなぁ

道もわからないしな


「ゴブリン以外にも何か出るんですか?」


あっ、しまったこっちではゴブリンって名前じゃないかもしれないな


「はい、でますよ。ゴブリンの他にはオーク、大蜘蛛デスパイダー新緑の鹿グリーンディアーとかですかね」


おお、名前は同じなのか そして今気づいたけど普通に日本語通じるなあ

あと、大体想像できるけど蜘蛛とか会いたくないなあ


「一人で森を抜けるのは厳しいかもしれないです…」


「そうか。なら送ってやる。付いて来い」


「ありがとうございます」


「ついでなので街には行きませんか?」


「行きたいです」


やっぱり街があるのか…

気になるな


「では行きましょう!」


道中、二人に色々なことを聞いた


二人はその街の衛兵で、森の定期偵察中だったらしい。

因みに、渋い男性衛兵が『レギオス・ヴァーピッド』さん、昔は冒険者としてまあまあ名を馳せてたらしい。ベリーショートヘアーのガチムチのかっこいいおじさんだ。

そして、若い女性は『アガタ・ハーネスティ』さんというようだ。こちらは、ミディアムヘアーの普通に可愛い娘だ。


ここは、ケーレス公国の東部にある〈コヴェントリー〉という街らしい。目立ったものはないがのどかないい街だそうだ。


その他には、この世界には魔法があるとか、魔物は倒したら魔素になるとか

ゴブリンは一番弱いが装備と数によっては脅威になるなど、教えてもらっていたら大きな壁が見えてきた。


「よし、着いたぞ。身分証を貸してみろ。」


身分証だと…


「もしかして持ってない?」


「はい…」


「まあいい、お前は変なやつだが悪いやつではないな。俺が保証する。入れてやるから冒険者ギルドに入って来い。」


「じゃあね、冒険者ギルドは大通りをまっすぐ行ったところだよ!」


「ヴァーピッドさん、ハーネスティさんありがとうございました。」


「今度また街を案内するよー」


「何かあったら衛兵の詰所に来い」


異世界の人はこんなに優しいのか?

二人に感謝して、俺は冒険者ギルドに向かった。


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街並みは煉瓦造りの家や、バザーのようなものが建ち並ぶヨーロッパのような雰囲気だ。


だが売られているものを見ると、見たことのないものばかりで興味が湧くが、先に身分証を作った方がいいだろう。そして今俺は全くお金を持っていないのだ…


また俺の格好が気になるのか、台車がきになるのか、視線があるが思っていたよりは少ないようだ。


冒険者ギルドの建物は大きな酒場のようだった。中では昼間から酒を飲んでる人もいるのであながち間違えでもないようだ。


受付のような場所に並んでみる。


「お待たせしました。冒険者ギルドコヴェントリー支部へようこそ!どういったご用件ですか?」


思ったより丁寧だった。よそ者だからか?


「身分証の発行って出来ますか?」


「はい出来ますよ。この街に入れたということは衛兵さん達の検査を受けたってことですからね」


そんなに衛兵さん達は厳しいのか…

あと、仕事量多いだろ。お疲れ様です


「では、よろしくお願いします」


「はい、それではこちらのプレートに血を垂らしてください」


血?魔法か?便利そうだな

俺は置いてあった針で指から血を垂らした。


「ありがとうございます、こちらがあなたの身分証になります冒険者ギルドカードです。

なぞってもらえますと本人にだけステータスボードが見えますので、活用してください」


ステータスボードか後で見ておこう。


「これで以上ですか?」


「いえ、モンスターが落とした装備や、石ってどこかで売れますか?」


「はい、装備や魔石、討伐部位はこちらで買い取ります。」


謎の石って魔石なんだ…

討伐部位?


「討伐部位ってなんですか?」


「モンスターを倒した際に稀に落ちるそのモンスターの部位です。装備の素材になります。」


「ありがとうございます。これだけ売れますか?」


俺は台車に乗せてあった布袋を渡す。


「はい、買い取らせてもらいます。えーっと全部で銀貨3枚と大銅貨8枚ですね。どうぞ」


「ありがとうございました。」


買い取り額の高低はわからないが金貨の単位はこんな感じだそうだ。


プラチナ貨 100大金貨 ↓

↓ 大銅貨 10銅貨

大金貨 10金貨 ↓

↓ 銅貨 100青銅貨

金貨 10大銀貨 ↓

↓ 青銅貨

大銀貨 10銀貨

銀貨 10大銅貨


だいたい銅貨一枚でパン一個だそうだ


「さて次は宿か… そういえば文字も日本語なんだよなぁ」


おっ良さそうな宿を見つけた。


酒場宿 閑古鳥亭

かっこうの様な鳥の看板をさげた風情のある宿だ。


なぜその名前にしたんだ…

まあ普通に賑わってるからいいのか?


「いらっしゃいませ!泊まりますか?ご飯だすか?」


活発そうな女の子に迎えられた、中は宿と酒場で別れているようだ。


「泊まりです。一泊いくらでしょうか?」


「ありがとうございます!一泊朝・夕食付きで先払い銀貨2枚です!七日間以上ですと後払いでもいいですよ」


「ではまずは七日間よろしくお願いします」


「はい、では身分証を貸して下さい!」


「はい… どうぞ」


身分証控えるのか?


彼女は身分証を受け取ると呪文のようなものを唱えた


「我 ここに誓えり 我が誓いを受け取り 盟約の神よ 我らが契約を護りたまへ…」


身分証が一瞬淡く光った。

これが魔法か詠唱は初めて見たな…


「ありがとうございました。これで契約は完了しました!踏み倒したら痛い目みちゃいますよ?」


痛い目か…


「ではお客様の部屋はこちらです!」


部屋まで案内してもらい、中を見てみた。


部屋は六畳ぐらいでシングルベッドに机、椅子が一脚あった。またお風呂はなく外の井戸で体を流すらしい。


とりあえずいい感じの部屋でよかった…


何しようか…


「あっ、そうだステータスボードみるか」


ギルドカードをなぞってみた。


淡く光り四角形の表示が現れた。


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種族:人種 黄色

年齢:27

LV:6

冒険者Rank:H

称号:次元を超えし者

状態:平常

耐性:精神異常耐性(lv7)、精神汚染耐性(lv5)、

毒物耐性(lv3)

スキル:精神感応制御(lv4)、槍術(lv1)、

棒術(lv1)、回避術(lv2)、成長率増加

(lv3)、思考力増加(lv3)、魔法適正(lv1)


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「おぉ…」


精神系の耐性と毒物耐性は会社のお陰だな…

酒は毒物に入るんだなぁ


今日は色々あって疲れたし、まだ早いけど寝るか…


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「ふぁぁあ…」


結構ぐっすり寝れたな


今日は何しようか…

休みはあと14日間はあるし、楽しんでみるか…


楽しむにはお金が要るな、冒険してみるか…


「おはようございます」


「おはようございます!今日の朝食は黒パンと六鳥の卵スープですよー」


「ありがとうございます」


六鳥って何が六なんだろう?


「食べ終わったら机の上に置いといてくださいね」


「わかりました」


「では失礼します!」


異世界の朝食は意外に美味しかった。

朝食食べたの何年振りだろうか?


先ずは詰所に行ってどこかモンスターを狩れる場所がないか聞いてみるか…



「おはようございます」


「おぉ、おはよう。昨日のお兄ちゃんじゃないか。どうしたんだ?」


「どこかモンスターを狩れる場所を教えて貰えますか?」


「おう、それならダンジョンに行けばいい。

ダンジョンには冒険者ギルドのテレポーターで行けるからついでに一つか二つ依頼を受けてけばいいさ。気をつけろよ。」


「はい、ありがとうございます」


ダンジョンか

子供の頃を思い出すなぁ…


冒険者ギルドに着いた。


おっ、昨日のお姉さんだ。


「おはようございます!今日はダンジョンですか?」


「おはようございます。 そうですね、ダンジョンに行ってみようと思います 何か良さそうな依頼はありますか?」


「あちらの壁に貼ってある紙を見て持ってきて下さい!」


あっちの壁には所狭しと紙が貼ってあった。


【討伐依頼】

〈キングゴブリン討伐 報酬 大銀貨7枚

特記 討伐証明に魔石を持ってきて下さい。

危険ですので必ず二人以上でお願いします〉

〈オーク大量発生 討伐 報酬 大銀貨2枚

特記 一人当たり最低10体、それ以上は一体 につき銀貨2枚出ます。〉

〈スライム討伐 報酬 大銅貨3枚

特記 一人当たり最低15体です。〉etc



【納品依頼】

〈スライムコア納品依頼 報酬大銀貨1枚〉

〈魔石納品依頼 報酬 銀貨5枚

特記 中型以上を納品してください〉etc


【護衛依頼】

〈オスカー商会護衛依頼 報酬大銀貨5枚〉etc


どれが良いかなぁ


「これがいいなぁ… でも一人だし…」


ふとそんな声を聞いて横をみた。

そこには奴がいた。


正確には真っ黒の格好で触角が二つ出ていて、これもまた黒光りする鎧をつけた女の子だ…


酒場にいる冒険者たちは全員引いている

こっちにもいるのか…


関わるべきではないか

今のうちに…


「お兄さんこのクエスト一緒にやりませんか?」


奴は嫌いだが、見上げるその眼には勝てなかった…


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この娘は、正直可愛い本当に可愛いのだが、うしろ姿が奴だった…


その日はなんかよくわからないゴブリンの親玉を倒しに行ったが、この娘がほとんど片ずけてしまった。それは良いのだが、動きも奴だった… 何故だ…


なんで誘われたんだろう…


その娘はあまり喋らなかった、


名前を聞いてみた。

その娘は答えなかったが、代わりに俺の名前を聞いてきた。その娘は満足そうに頷いた。


その娘はあまり食べなかった


いつも少ししか食べないのに凄く動いた。

何でか聞いたらそれが私の種族の特徴ですからと微笑んだ。


何の種族何だろう?獣人かな


その娘は素早く動いた


何でそんなにはやいのか聞いたら、空気を感じるのですとだけ言った


その娘は避けられていた


何故か聞いたら、その娘はこう言ったそれが私の運命ですからと…


ある日彼女は聞いてきた。


「何で生き物は死の危険を背負ってまで、人間の前に現れるかわかりますか?」


珍しくよく喋るなと思っていた


「わからん… 食べ物があるからか??」


「それもあるでしょう、しかしそれだけでもないでしょう…」


「何かあるのか?」


「分かりません、でも一つだけ分かることは、彼らもまた遊ぶのは好きなんでしょう」


「ふーん」



彼女と共に七日間過ごした、まだ休みはあるが宿のこともあるので俺は現代に帰ることにした…


「俺明日から少し遠いところに行くから、ちょっと会えなくなる」


「付いて行っても?」


「ダメだ、偶には他の人といったらどうだ?」


「そうですか…」


「まあ少ししたら帰ってくる」


「そうですか… 」


「じゃあな」


「ちょっと待ってください…」


彼女は俺に抱きついてこう言った


「今までありがとう、話してくれてありがとう遊んでくれてありがとう」


「何だ急に?っていうか遊んだか?」


「何でもないです。また今度遊びましょう」


「そうだなまた今度…」


「友よ…」


「ん?なんか言ったか?」


俺は振り返った。

その娘はもうそこにはいなかった


「相変わらずはやい奴だな」


街を出て森を抜け穴を潜った。


そこでふと思った。


「そういえば色々あって仕留めたGの片ずけしてなかったなぁ」


テレビのあった場所をみたがそこに奴の死体はなかった。


「友か… まあ異世界があるんだからそんなこともあってもおかしくないな…」


その日から俺は奴を逃すようになった



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ある日、職場に奴が現れた…

みんなが叫びながら走り回る中俺は小さな声でつぶやいた


「俺の友に当てれるのは俺だけかもな」


ちょうど俺の前まで来た…


「お前もしかして楽しんでるのか?」


俺は全力で追いかけた…



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「ふぅぁぁー今週も終わったなあ」

時刻は午後10時後は帰るだけだった。


「先に上がるよ」


後輩の怨みがましい視線を背中に受けながら会社を出た。


「今日は飯食ってから帰ろうか」


いつもの安い牛丼屋の安い牛丼を食べて帰った。


…ガチャ


「ただいま」


何かの気配がした。


「今月はどんな奴が待ってるのか楽しみだ…」


俺は風呂に入りアイスを食べた、その時…

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