第3話 小さな友達
「にゃあ」
おはようございます。
朝だね。まだ外は真っ暗だけど、目が覚めちゃった。
今日は、ジュールとランカーと一緒に狩りをする約束してるんだ。
ジュールとランカーは小さな人だよ。
向こうで冒険者をしてるんだ。冒険者は、小さいけどムキムキなヒゲボーボーのおっさんが多いんだけど、ジュール達はツルッとしてる。兄弟で、まだまだ若造なんだって。
僕が遊びに行ってた最初の頃、草ボーボーの中で、ウサギに襲われてたんだ。ウサギは僕よりちょっとだけ大きいくらいだけど、ジュール達から見たら怪獣みたいにでっかいよね。
それに、額にネジネジの角が生えてて角の根元の毛とか、黒ずんでて。
やべーな、アイツっ!って感じ。
そのウサギの前にジュール達が居たんだけど、最初は虫かと思ったんだ。ひょろ長いし、キラキラしてたから、良い虫見つけたって思うよ、誰だって。
わあ!これは捕まえなければって、ウサギを蹴散らして追いかけて、前足で抑え込んで捕まえたら、何と!喋れるんだよ。虫が喋ったらびっくりするよね?
面白いから、助けてあげることにしたの。美しい毛皮の強き者って呼びかけられたから、凄く褒められてるって思わない?うちの人なんて、僕のこと、「おばかなハーちゃん」って呼ぶんだよ。失礼しちゃうぜ。
そんな訳で、捕まえた小さな人とゆっくり話すために、角ネジネジウサギを狩ってみた。だって、せっかく小さな人と話そうと思ったのに、襲ってくるんだ。
ま、僕は優秀なハンターだから!ウサギみたいな大きい獲物は初めてだったけど、さほど苦戦もせずに倒したよ。首筋に噛み付いたら、ランカーがピリピリってくる電気を飛ばしてウサギに当てて、ジュールが剣でとどめを刺したんだ。
「美しく強い者よ、ありがとうございます」
いいよー。楽勝だったし。
「もしよろしければ、お名前を教えてはいただけませんか?私の名は、ジュールと言います」
「僕は、んー、ハルだよ」
ハーちゃんだよって、自分で言うのは流石に恥ずかしいから、ハルオのハルを名乗ってみた。
すると、なんかピカッとして、胸がホワッとあったかくなって、ジュールの気持ちが少し伝わるようになったんだ。
ジュールは冷静そうに見えてたけど、心の中は歓喜の舞!だったよ(笑)
名前の交換は、契約なんだって。契約ってのは、名前を呼んだら聞こえるってことだよ。
絶対言うことを聞かないといけないわけじゃないんだけど、
「ハル、遊ぼう!」ってワクワクが伝わってきたり、「ハルー、助けてー」とか、声と一緒に恐怖心が伝わってきたら、行かずにはいれないよね。
それから時々、ジュールに呼ばれて狩をするようになったんだ。
もちろん、僕にも都合があるからね。行けない時は、ゴメンなんだけど。
と回想しながらにゃあにゃあ叫んでたら、やっとうちの人が起きてきたよ。
「にゃ、にゃー!(開けて、あーけーてー)」
偶には意志を乗せて鳴いてみる。そのうち、うちの人とも喋れるようになったらいいなあ。
でも、僕も前世は猫語は分からなかったから、無理?
うちの人は目をこすりながら、ドアを開けてくれた。
「にゃ。(ありがとう)」
さあ、今日も冒険だー!
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