僕は君のことが好きだ!

柏木 離瑠

第1話 君に片思いしてる

〈8月10日 A.M. 6:35〉

「グーガッガガガガー」

朝は外から聞こえるひな鳥の鳴き声と、近くでしているラジオ体操の音、そしてすぐ隣にあるアラームに起こされる。

ピピピ ピピピ

アラームがなったら僕は、アラームを止めてまた寝る。毎日これの繰り返しだ。

〈A.M. 7:10〉

「こら! 起きなさい!」

おばあちゃんがいつものように起こしにくる。

お母さんは朝6:30には仕事に行き、お父さんは7時過ぎには仕事に行くから、朝にお父さんとお母さんに会うことはなかなか無い。

「んっん〜〜よく寝た〜」

「お兄ちゃんは、寝過ぎなんだよ。」

妹が、僕の事を見ながら言う。

「えへへ、そうかな?」

「そうだよ! 夜の8時には寝るし、帰って来てからもずっとゴロゴロして……少しかま…いや、なんでもない。」

「え? 何? 気になるよ〜」

と言っていると妹はすぐにキレる。だからなるべく言わないのにしているがついつい言ってしまう。性格なのだろうか。

あっところでだけど、僕は高校1年で私立城西高校に通っている、小林 幸助(こばやし こうすけ)。ついでに妹のことも。妹は、二つ下の中学校2年で紅葉中学校に通っている、小林 華(こばやし はな)。華には彼氏もいてクラスの人気者、なんて妬ましい。僕とは大違いだ。

僕は彼女がいないが、好きな人はいる。でも、勇気が出なくてなかなか話しかけられない。

「今日のご飯はなに?」

と、おばあちゃんに聞く。

「チャーハンでいい?」

スマホをいじって呑気にしている。こっちは急いでいるのに……。本当に、起こしに来る前にご飯が作ってあったら言うことはないんだけどな。

「うん、いいよ。」

呆れ気味にそう言って、洗面所へ向かう。鏡の自分と向かい合って、あくびをしながら寝癖を直し、歯を磨く。それからご飯を食べて学校に行く。いつもの日常だ。

華と一緒に家を出て学校に行く。

「「行ってきますー」」

おばあちゃんが僕たちを見送り、新聞を取って家に入る。

「華? 最近彼氏とはどうなんだ?」

登校中の他愛もない話。華の彼氏は小学校卒業と同時に遠くの中学校に入ってしまいSNSなのでやり取りしてるらしい。

「うーん、まぁまぁかな、あっちからもLINEしてくれるし、やり取りしてると楽しいからいいの、遠距離でも。」

「そういうものなのか?」

僕にはわからない、僕は好きな人には近くにいて欲しいし、近くにいたい。でも華もこう言ってるだし、別にいいんだろう。

華の学校は僕の学校に行く道にある為、華が学校に着いてからは急いで学校に向かう。

「遅刻、遅刻……」

通り道で僕は好きな人が前にいることに気づいたけど挨拶しようとしても、おはよう『お』の文字が出ない。そして『おはよう』も言えずに彼女の横を通り過ぎ、学校の玄関に入る。

彼女は僕とは違うクラスの柏木由紀(かしわぎ ゆき)。中学校も同じだった。目立つわけじゃないけど大人しくて、たまに笑う顔が特に可愛いい。それが好きで彼女のことを好きになったと言っても過言ではないだろう。でも、僕はクラスの中でも騒がしい方で大半の女子には嫌われている。顔もそんなに良いわけではない。

それに比べて僕の友達、豊咲結城(とよざき ゆうき)はイケメンで、バスケが上手くて、人付き合いが上手。でもそいつには一つだけ残念なところがある。それは『変態』ということだ……。

モテるのに、変態とかずるい!

しかもそれは俺にしか見せない一面だから、周りの人は結城ってカッコいいよなとかって事ばっかり言われているんだ。まぁ、俺はその結城も受けて入れてあげてるから友達の関係が続いているのかもしれない。高校に入って結城とは別の高校になり少し寂しい。

話は変わるが、僕は僕なりに頑張って由紀のLINEのIDを由紀の中学校時代の友達から貰うことができた。不審者扱いされて危うく逮捕されるところだった、ということも一応言っておこう。

その時は、もう死んでも良いと思った。早速、僕は由紀にLINEを送った。

『よろしく! 同じ中学校だった小林幸助です。』

30分くらいしてから返信が来た。

『よろしく、柏木由紀です。』

僕は、なんて打っていいかわからなくてなかなか返信できなかった。

でも、由紀からLINEが一通来た。僕はすぐに由紀のLINEを見る。

『幸助が良かったら、またLINEしてもいい?』

と、来て僕は、すぐに返信した。

『もちろんだよ!』

その日の会話はこれで終わった。

〈8月11日 A.M. 6:35〉

毎朝の事だがアラームが鳴る。

僕はアラームを止めようとして、携帯を見るとLINEが一件来ていた。

それは、由紀からだった。内容は

『おはよう、朝早くにごめんね。』

僕は、こんなに早く由紀と話せるとは思ってもいなかった。

『おはよう、大丈夫だよ。』

そして、由紀と話していくと、由紀への印象が少しずつ変わっていった。

LINEの中では元気でおしゃべりなんだ。

でも、みんなの前だとおとなしくて、たまに見る笑顔が可愛い。ギャップ萌えと言う言葉がすごく似合う人だと思う。僕だけが知っているという優越感があり、とてもわくわくした。

☆★☆★

夜になり僕が寝ようとすると、ちょうど由紀からLINEが来て『寝落ちするかもしれないけどいい?』という了承だけ得て、会話は始まった。最初に言った通り寝落ちしてしまった。

それから毎日毎日由紀と話すことを楽しみにしながら過ごしていた。そして、気づけば城祭の時期だった。

〈9月18日 P.M.15:06〉

由紀からLINEが来た。

『明日は城祭だね。』

僕は決心した。今日、告白すると! 理由は明白だろう。

『そうだね。』

そして会話が切れてしまうが、意を決して僕は言った。

『あのさ、聞いて欲しい事があるんだけどいいかな?』

由紀の返信は早かった。

『うん』

『僕は由紀の事が好きです! 柏木由紀さんの事が好きです! 付き合ってください!』

と、LINEで送る。

こんな伝え方は悪いとわかっていたが口では言えないから、LINEで送ったんだ。

心臓が凄い早さで脈打ち、手が震える。それから20分くらいしてから由紀から返事が来た。


それは、YESのスタンプだった。


僕は、嬉しくて泣いた。でも、つきあうことの次にやることがあるのを思い出す。

震える指で、一文字一文字を打っていく。

『ありがとう、そしてもし良かったら。明日の城祭一緒に回らない?』

由紀は、と送ってくれた。

『2日目なら空いてるよ。』

僕は、もう死にそうだった。心拍は上がるし涙は止まらないそれでも由紀とのLINEは辞めなかった。

城祭は、2日間に及んで行う。2日目の最後には後夜祭がありそこではキャンプファイヤーなど花火などが催される。

『そしたら、僕が由紀のクラスまで迎えに行くよ。』

『うん、わかった。そしたら12時半にC組まで来て。』

『おう! そして本当に良かったらでいいんだけど後夜祭、屋上に来てくれない?』

由紀からの返事は少し時間が空いてから来た。

『うん、わかった! 楽しみにしてるね。』

『じゃあ、寝るね』

と、由紀が言って今日の会話は終わった。僕は明後日が楽しみでしょうがなかった。

〈9月19日 城祭当〉

「おーい! 結城〜〜!」

僕の高校での友達、正樹雄二(まさきゆうじ)が僕のことを読んでいる。

「なんだよ。」

「わりぃ、チョット手伝ってくれない?」

「まあ、いいけど。」

それからというもの、1日通してこき使われた。だが、どうにか頼み込んで2日目は免除してもらった。

その日の夜は、疲れすぎていて由紀とのLINEが出来ずに、寝てしまった。

〈9月20日 A.M.7:30〉

僕は身なりを整えて、学校に妹と行った。妹は学校があるから城祭には来れないといっていた。いつも通り、見送ってから学校に行く。

午前中に友達の所の出し物を見て回り、最後に由紀の所に行った。

由紀の所は、[喫茶店]をしていた。僕は、勇気を振り絞って、由紀のいる喫茶店に入った。

そこは静かで、クラシックが流れていた。なぜか、すごく落ち着いた。

由紀は厨房の担当だったけど、すごく楽しめた。由紀とは会いたかったけど……。

由紀は仕事が終わって休みに入る。そこからは由紀との2人での行動だ!

☆★☆★

ついに僕と由紀の二人だけの時間がきた。僕は、緊張で全身が震えて、心臓もスピードアップしている中で言った。

「ど、どどどどこに行く?」

由紀は顎に手を当て、首を傾げて悩んでいる。

「うーん、どこでもいい。幸助の行きたいとこでいいよ」

と、微笑みながら言った。やべえ、可愛い……。

それからは、お化け屋敷とお昼ご飯を買って僕と由紀は城祭を満喫した。

時はあっという間に過ぎて、実行委員がキャンプファイヤーの準備をしだした。

「屋上に、行こうか。」

僕は、由紀にもう一度直接あって告白をしたかったのだ。だから、それ相応のロマンチックな状況で告白しようと考え、屋上を選んだ。

「あ、あのさ、由紀、話聞いてもらってもいい?」

「うん」

僕は少し息を整えて、言った。

「前言ったことなんだけど……。」

「……」

「僕、小林 幸助は、柏木 由紀の事が大好きです。付き合ってください!」

僕がそう言うと由紀はうつむいた。蕎楽黙ったまま時間が過ぎる。そしていきなりバッと顔を上げた。泣いてぐしゃぐしゃになった顔で言う。

「幸助……私も大好きだよ。」

それと一緒に花火が上がる。僕は、由紀を抱きしめて唇と唇を重ねた。

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