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==一話を短くして表示する。ただし、話の前後を無視しているので、もし、負荷なく見たい方は、通常版をご覧ください==


―吉原―


 粋な男たちが艶女を求めて集まってくる。異質な空間。

 南にだけある大門は現世とあの世をつなぐ門とさえ言われている。男にとっては日常を忘れさせてくれる極楽も、そこに住まう女たちにとっては―地獄―



 三味線や鐘の音が入り乱れている。むせ返るばかりに焚かれた香が道にまで溢れている。無駄使いだと思うほどに明かりがたかれ、まるで昼間だ。


「おい、あれ見ろよ」

「女だ? 外の女、だよな?」

「あれ知ってるぞ、六薬堂って薬屋の女将だ」

「薬屋ってことは、どこかの廓に病人がいるのか?」


 ひそひそ声も大きくなるほどの賑やかな大通りを、六薬堂店主の詩乃は歩いていた。肩の上で切りそろえられた髪、色白で、血色のいい唇。背筋が伸び、道行みちゆきの紺が深い色合いを出していた。


「一体どこの女郎が病気なんで?」

 といった言葉にうんざりする様に一つの店の前で立ち止まった。


「え? 若宮さんところじゃないか、あんな大店?」

 詩乃はうんざりしながら顔を上げると、



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