マッスル☆パラダイス
森 トモヒロ
悪党編
第1話
近未来。
度重なる戦争が続いた。
無差別な爆撃は貴重な資源を破壊し、化学兵器は環境を破壊し尽くした。
世界規模で食糧難が起き、人類はピーク時の10分の1以下まで減少。
日本も例外ではない。首都が空襲を受けて以来、政府機関は機能を失い各地で暴動が乱発した。日々略奪や意味のない暴力が日常になっている。
平和ボケした日本人はもう居ない。
生きるために食糧を求め、欲望のままに生きる。
これはそんな荒廃した世界で生きる男の物語。
「待ってくれ、俺たちは何も知らなかったんだ!」
「はは、もう遅いんだよ!助かりたけりゃ命乞いしてみな!」
まだ若い男女を囲む数人のグループ。ナタやツルハシ、それぞれ凶器を持っている。こいつらはこの辺りに巣食うならず者の集団だ。カップルは食糧を求め彷徨う内に彼らの縄張りに迷い込んでしまった。近くにショッピングモール跡地があり、定期的に『獲物』が釣れる。
「頼む命だけは助けてくれ!何でもする!」
「ん〜。ーーーーーーダメ!」
後頭部に振り降ろされた鎌は鈍い音と共に深くまでささり、男はぐえっと漏らし絶命した。女は声にならない悲鳴を上げたが布を口ににかませられくくられる。
「久しぶりの女だ!おい順番だ!マワせ!」「俺からだ!」「野郎のケツに飽きてた頃だったんだ」「悪いな、ねーちゃん。俺らを楽しませてくれや」
女は服を剥かれその場でならず者共に犯される。
この様な光景は珍しいモノではない。はじめは抵抗していた女だが、諦め声も上げず無反応になるのに時間もかからない。それでも慰みモノとしてならず者達が飽きるまで続く。
こういった本能のままに生きるならず者共は少なくない。欲望のまま人を襲い、女を食う。『ヒト』を捨て『ケモノ』になれ果てた方が生き残りやすい世界に変わったのだ。
だが『マトモ』な人種も数多く残っている、大抵は集団で暮らし各々の秩序を作り上げている。
「おい見ろ!コイツ煙草持ってやがった!」
ひとしきり性欲を発散させた者から男の荷物を漁る。
煙草、酒といった嗜好品は現在製造されていなく、金の価値が崩壊した今貴重な物資である。
「女はかまわねー、けど煙草はダメだ!ボスへ奉納するんだ!」
「一本くらいわかりゃしねぇ!」
ボスはそのまま、彼らのボスの意。腕力の強さが純粋にヒエラルキーの上になる。彼らはショッピングモール跡地を根城に周辺に迷い込んだ者を襲い、近くの集落を襲撃し暮らしている。
現在ボス率いる襲撃チームが近くの集落に遠征に行っている。
「嫌ダメだ!バレたらお前も殺されちまうぞ!」
「そうだ!そうだ!」
「俺が預かっておく!」
「ちっ(しかし一本くすねてやったぜ)」
ならず者とは本能のまま生きている為必然的に知能が低い。
「ああっーー!」
突然反応が薄かった女が喘ぎだした。先ほどまでと違い明らかに感じている。これは至ってレアな事。ならず者とは自分が気持ちよければそれで良い、所詮女性器を使ったオナニーなのだ。女を愉しませる必要はない。
しかし今腰を振るう男は違った。女の頬は紅潮しケツをヒクつかせ痙攣し、自ら男を求めるように腰を振る雌になっている。
「おい、お前!いつまで腰振ってんだ!遅漏か?そろそろ俺にも変われよ」
勿論女を犯すのにも順番がある。下っ端は雌に性欲を刺激させられ順番をせがった。
その時だった。
その場にいたならず者を違和感が襲った。
「おい、だ、誰だコイツは!?」
腰を振る男は俺たちのチームにはいない。いや恐らくチームじゃなく仲間にもこんな奴はいない。俺たちとは違う体つき、凄い筋肉!とてもマッチョ!キレイな肌、きめ細かい。スキンヘッド!
そう、この男こそマッスル!荒廃した世界の希望になる男!
マッスルは腰を振り続けながら下っ端を振り向く、その表情はどこか哀しげだ。この後下っ端に起こることを知っていて哀れんでいる。
「な、なんだ!テメェェ!!誰だぁぁぁ!?」
下っ端は落ちていた農具を拾い殴りかかろうとした。
刹那。マッスルの左手が消え下っ端の顔に減り込む。裏拳。
下っ端はあひゅっと呟き仰け反りそのまま地に落ちる。少しピクついた後、死んだ。
下っ端が死ぬまで何が起こったか解らないでいたならず者共だったが、その内の1人が奮起の雄叫び上げると全員でマッスルに襲いかかる。その数4人。四方からマッスルを強襲。
マッスルは器用に女を自分の方に向かせ立ちバックから駅弁スタイルにシフト。女は腕をマッスルの首に絡ませ尚も艶かしく腰を動かす。両手が自由になったマッスル。先ずは左右ならず者を制裁。回し蹴りで後ろの1人も軽く吹き飛び、木にぶつかり死んだ。
正面の1人は後ずさりし、難を逃れた。
「くそう!」
そう言い残し一目散に逃げていく。
残ったのはマッスルと雌のみ。暫くしてマッスルは果て、女を下ろし服を被せる。女を恐怖と快楽と色んなものが合わさり気を失っていた。マッスルは女の髪を撫で立ち上がり静かに歩き出す。
ならず者が逃げたほうへ。
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