第18話
熊は襲いかかっては来ないが、機会を伺っているだけで攻撃する気はあるのだろう。
じっくりとこちらを睨みいつでも戦闘に入れるような体勢で広間をぐるぐる回っている。
まあ、とりあえずは魔法しかないな…
物理攻撃とか怖すぎるわ
《そうですね。 …あぁ、クマさん…》
まだ言ってるのか…
《まあいいです!行きましょうか!》
人間の頭程度の大きさの火球が飛んでいく。
前世のならば一戸建てが全焼はするのではないかと言うほどの勢いの炎だ。
ぼすっ…じゅぅ…
…
《…》
「ぐぁ?」
え
《え》
なんも効いてないじゃん…
《そうですね、そしてこちらの攻撃が警戒する程のものではないと分かったなら、熊は…》
まさか…
「ぐぅああああ!!」
熊は獲物を追うようにこっちに走ってくる。その姿は闘牛のようでも猪のようでもない。知性のない動物とは思えないような気迫があった。
《マスター… 男らしく戦わないのですか?》
無理だ!って言うか今男かわからん!
《それもそうですね、やっぱり逃げましょうか!》
当たり前だ!そして何故今頃!?
《…次のマスターの予定がナルシのキザ野郎だったので…》
え… 次?
《冗談ですよ?》
冗談に聞こえない…
《さきに逃げましょう!戦略的撤退です!》
3時間後
はぁはぁ、肉体的には余裕だけど精神的に疲れた…
《そうですね… マスターの疲れなどはこちらにも響くので辛いです…》
へぇ、そうなんだ?
《そうなんです!もうマスター特攻したらどうですか?神風ですよ?》
黙れ… 誰がするか…
3日後
…
《…》
しつこすぎるだろ…
《そうですよ… マスター!!前を見てください!》
なんだ?って行き止まりかよ!
《…もう、特攻しか…》
まじかよ…こんな事になるとは…
だがまあ最期ぐらいかっこよく逝くか!
《マスター…》
チェストォォォ!!
詩織は謎の叫びと共に突然飛び上がり、熊の顔面に向かって腕を突き出しア◯パンチみたいな格好で突っ込んだ。
熊は突然の出来事(奇行)に戸惑い反応が出来ずもろに受けた。
《…馬鹿ですか!?マスター!大抵の生き物は頭部が一番硬いんですよ!?》
…
熊はゆっくりと二本の脚で立ち上がった。
南無三…
《せめて1度ぐらいは伝えたかったのに… 》
「ぼすぅん!!」
え…
《へぇ?》
熊はいきなり倒れたのだ。起き上がろうとしていることから死んだわけではなさそうだが、何故か痙攣していて直ぐに起き上がれそうではない。
《なにが起きたかはわかりませんが、とりあえず逃げましょう!!》
そうだな、さっきなんか言った?
《…早く逃げましょう!》
二人?は知るはずも無いがこの前に潰した虫の体液が熊の体内に入り一時的な麻痺状態になっていたのだ。
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