リビングデッドブルース

これがなきゃ眠れないんだと

ポケットから取り出す鎮痛剤

ラムネみたいに噛み砕いてみせるアンタが嫌いだよ


まるで鏡の中の自分みたいで

ポケットに隠したジャックナイフを

アンタの前では見せびらかさない俺のちっぽけな見栄


眠れやしない夜更けに

街灯の下に集まる

蛾の群れよりも不自由な

はねすら持たないみじめな生き物


いつか聴いた唄みたいに

バイク奪って走って

ガラス割って殴り合ったら

くたびれて眠ってしまえるかな



お気に入りだったスニーカー

つま先が痛くても履いてた

いろんな大事なモノを一つ一つ覚えてられたあの頃


ウサギのぬいぐるみをくわえてた

みすぼらしく汚れてても大事だった

ある日消えたウサギを探したら 再会できたゴミ捨て場


こんな風にちょっとずつ

壊して捨てて忘れて

大人になっていくのなら

子供の死体が大人なのかよ


ゴミ捨て場からの帰り道

泣きながら生きてたのに

ゴミ捨て場に棲み付いた今の

俺は 大人でもないタダノシカバネ



努力しろよ頑張れよって

ありがたく頂戴した言葉は

未開封のまま賞味期限

たぶんとっくに腐っちゃってる


こんな俺にしたのは誰だ?

犯人捜しに意味があるかい?

時間の無駄だろ 気付いてんだろ

ゴミ捨て場から出歩いてみようか


生き返る魔法を探しに行こうか

くたびれて倒れるまで足掻いてみようか



***


from DISTOPIA EMPEROR

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886513190

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