曲がった木
撫牛 史
変
末期癌患者のつらい闘病記録や成功者の賛美的人生譚、数多の言葉で綴られたそれらは「死にたくない」の一言で済んでしまった。たぶんそれが人の真理だ。
「死にたくない」の度合いは人によって違うが、少なくとも闘病している人たちは、薄明かりを前にぼんやりと下らない文章をタイピングする男よりは強い。
人生がうまくいっていない人間は、生きたいのではなく死にたくないだけだ。いまは天秤が死にたくないという方に傾いているだけで、何かの拍子に死にたいという方へ傾く。それが年間3万人。いや、本当は10万人以上。
その多くは変死として扱われ、遺書があった時に自殺として処理される。自殺の何が変なものか。死ぬことの何が変なものか。死にたいなんて嘘で、本当は死にたくなんてなかった被害者達のなにが変なものか。どうか、変死なんて言葉で片付けないでほしい。そんなの変だ。
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