第33話「黒の勢力」

―――竜胆白の異世界四十九日目―――


マックが怪しい人間を匿っている事が発覚して数日が経ち、この異世界に来て四十九日目、ザールとドロースが船で不法入国を許した事が判明した。

今は不法入国者たちに関する会議をしている。


通算すると不法入国させた人数は十七人。マックの邸宅に滞在しており、既に確保されているのが十一人で、残りは六人となる。


この十一人は今から二十日前と、二十三日前に入国した者達だった。

一人目は三十六日前に、次に二人が四十日前に、次に一人が四十三日前に、残り二人は五十一日前にマックの邸宅に到着している。


その当日なら見かけている可能性もあるが、こんなに人がいるこの街では見かけていたとしてもそれがだれかなど分かるわけがない。


更に、マックの邸宅と宿屋はそう遠くないため見かけていてもおかしくはない。


「すみません、先ほど捕まえた者から重大な情報が判明しました。どうやら入国したのは黒の勢力で、目的はこの街を襲撃するつもりかと思われます。」


やはり黒の勢力だった。

紫の国を陥落させた黒の勢力。迫害されている紫の国の民を味方につけたから成功したと聞いているが、今回は味方等はほとんどいないはずなのだが。


「計画表には決行日は暗号で死死と記入されているため、いつかまでは分かりませんでした。」


「楓殿はこれから常に王の警護を頼まれてくれ。一時も離れないように。」


右大臣はとりあえず王を護る事を優先にする方針で、ほかの大臣も特に異論反論無かった。


会議は終わり、俺は奴らの潜伏場所を探す事になった。

居場所など割れているわけもなかった。


デッドビートを使って奴らを探し出すとそう思いついたが、それはあまり良くない事だろう。

しくじればさらに面倒な事になる上に、まずどんな人間かわからない以上失敗しやすい。


人手がないとすれば、もう一人の頭で考えるしかない。

街の中央にある時計台、あそこから見回せばどこに居そうかわかるかもしれないな。


「あぁ、ハクこんな所でどうしたの。もしかして、あの時計台に行ってみたいのかな」


後ろからエミリーがそう話しかけてきた。


「それじゃあ、一緒にくるかい」

エミリーを連れて行っても問題はないと考えたし、一応何にかは知らせずに協力してもらう。


俺はエミリーの手を取り歩き出しす。

最近だとこれが自然な流れとなっていた。


もうここに来て五十日近く経つため、慣れ始めて居たのだった。

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