第31話「裏組織での方針」
―――泉谷隼人、通称『隼』―――
俺はデッドビートに通う時に泉谷隼人に限りなく近い姿で通う事にした。
元の世界でならば泉谷隼人で表舞台に立つべきだろう。しかしもう、既に王と関わりを持っている竜胆白を表に立たせる方が良い上に、泉谷隼人の姿を長時間維持する事ができない。
しかし、竜胆白ではない姿でアジトに行ったとしても疑われると思ったが、全く疑われもしなかった。
むしろ、あの子供が王城に勤めているのはおかしな話だと思われていたらしい。
そこで俺は竜胆白を雇った事にした。
泉谷隼人の姿を維持しきれず、竜胆白の姿に戻ってしまいそうになっても構わないように、あのアジトに一つ部屋を用意させた。
維持の限界まで達した時は一人で部屋に籠り体力の回復まで待機する。
もちろん、他の者には『部屋に入れば容赦はしない』と伝えてある。
その直前に泉谷隼人の姿で派手な魔法を見せつけて泉谷隼人の姿にもほかの者は相手にならない事を知らしめた。
しかし、馬鹿な連中が多い。黒の勢力の情報に関してはほとんどなかった。
しかしこの国の、この街の情報に関してはよく知っていた。
よく考えればこの街の輩にこの国や他の国の事など分かるわけが無かったのだ。
自分基準で物事を考えると失望する事が多い事がよく分かった。
だがまぁ、俺がデッドビートを率いてやる事の方針は決まった。
奴らはこの街で怪しい動きをしている人間達が王の臣下として務めているらしい。
もちろん裏取りはできていないため、俺は今楓の所にきて、デッドビートで挙げられた大臣の名前を持ってきて、楓に名前の人物を教えてもらう。
それにより名前の挙がった三人の人物、ザール・マートン西方管理官、ドロース・テラント渡航貿易管理官、マック・レーン謀反対策官。ザール、ドロース、マックと箇条書きされていた紙からここまでの情報を引き出せたのはよかった。
あとはその三人の素性を調べればよい。
「それで、この人達がどうしたのかな。」
楓が抱く当然の反応だろう。しかし、俺がしようとしていることを伝える訳にはいかない。
「一応、裏に通じてるかもしれないから、こちらで調査しようと思う。一応潔白の可能性もあるからまだ楓は立ち入らない方がいいと思う。」
この言葉で素直な楓は干渉してこない。
それはもう掌握している。
では、計画に映ることにしよう。
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