第21話「姫と剣の話」

 ―――竜胆白は知っていた―――


 楓の講義は続いていた。

「その勇者は魔族と戦う他の種族等の英知を集結させ、最強の聖剣を作り出し当時の魔族の王を倒し、その戦争を終結させた。魔王を倒した瞬間に聖剣は五つに割れてしまった。ここまでが白き光の勇者のお話。」

 最強の聖剣とは、どれほど強いのだろうか。


「その後の勇者は、全ての種族平和に平等にと主張しながら、世界の各所を周って行ったらしい。そして今の五人種の元になる人、龍、魔物、地上の妖精、水中の妖精とそれぞれの子供を作ったらしい。そして、その妻の名前が今ある五つの国の名前の元になったとされているが、今はそれで揉めていて、また違う呼ばれ方になっている。これがアリアの先祖のお話。」


「勇者は五つの破片をそれぞれ剣に変形させ、五人の弟子達に渡した。その弟子達が受け継いできたのが僕が使う焔架連を含む五つの聖剣。一番目にその剣を手にしたのが龍族との子供であった僕の先祖。僕の話もここまで。」


 この二人は白き光の勇者に深く関係しているから高い地位にいる訳だ。これは使える。

「ここからは国の話をするよ。この後長い時を経て人類は他種族の血を混じえながら発展し、今ではほとんど人類以外は純粋な種族で魔法を使えるものはいない。そうなると何故か人類は争い始めてしまう。」


 人々が争う事は世の常と言うのはここも変わらないという事だろう。俺はそうであると知っている。

「一応先に、赤、黄、緑、青、紫それぞの国がある。この名前は元々その妻の名前とされていたが、諸説あり、今は語れない事になり、代わりに別れた剣の色を名前にしている訳だ。」


 確かに、赤の剣、黄の姫等は、聞いていておかしいと思った。そういう事だったのか。

「現在紫の国は王の手を離れている。王族はこの国の東方にある赤の国に逃げ込んでいる。他種族に差別されていたらしい魔人、魔族が反乱を勃発した。そして、紫の剣を圧倒し、黒の国として紫の国を支配した。」


 やはり、争いと言うのは絶えないのだろう。

「おっと、もうそろそろ初めに言っていた時間になるね。続きはまた今度話す事にするよ。」

 元々予定があると言っていた為、その講義はここで終了したのだった。


「また、来るよ。そうだ少し楓に伝えたい事があるから、アリア姫はここで待っていて欲しいな。」


 俺は席を立ってそう言った。

「わかった、別にこの部屋の外で大丈夫かな。」

「問題ないよ。」

 俺は楓を部屋の外に連れ出して話し始める。


「楓、俺はあのデッドビートに潜入した。」

 要件はそれだった。そして、それを聞いた楓は流石に驚いていた。

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