死んで異世界。そして侵略。

優華晨創ハーミット

序章「女神との取引」

第1話「クソ人間は死ね。」

 ―――神はこの世界に生きる人間に平等などではない―――


 現代、人間は莫大な量に膨れ上がっている。その中に世界に名を轟かす人間が一人。

 その者は最も才能に溢れ、優秀な人間であると讃えられる天才であった。

 彼が携わった産業は必ず成功してきた。彼が良いと言ったものは世界中で流行となり、彼が悪いと言ったものはその発言と共に美しく消えていく。世界の全ては彼の為に動く、彼を中心に動く、そんな世界だ。


そう、彼はこの世界を実質征服していたのだった。


 彼はこの世界をとても面白いオモチャと心の中にうち秘めていた。

「あぁ、今日も実に素晴らしい一日だった。今日開華させてやった企業からは直ぐにお礼が届くだろう。それよりも、今日潰した企業の人間は今頃どんな顔をしているのか楽しみだ。あぁ、明日が楽しみで仕方がない。しかし、確かこの後はそこの店で島田と早速会食だったな。ただ近くにあってたまたま寄っただけで、別に特に何も無いが褒めてやっただけなのにな。しかし、気が早いな、今日はこの後の予定を空けておいてねやって良かったと思えよその、島田とか言うオッサン。まぁ、ムカつく事をすれば、島田の事も批判してどん底に叩き落としてやるけどな。あぁ?なん、だ一体何が起こった」


 彼は油断し、うつつを抜かしていた。そして警戒怠った彼の腹部に、気付けば裁きの刃が突き刺さっていた。


 状況を理解した彼の顔は段々と歪んでいく、それは痛みと怒りの性であった。

 傷口からは血が溢れ出し、そして直ぐにその意識は薄れていく。


 自分を刺した者の顔は、隠れていてよく見えないが、次に目覚めた時には必ず

 だがしかし、意識は薄れていくばかりで破滅などさせられるわけがなかった。

 僅かな意識でポケットに手を入れ、入っていた携帯電話を手に取る。


 ポケットから取り出された携帯は彼を刺した者の蹴りを浴びて、遠くへ飛ばされていく。

 今手を蹴られただけであったが、彼はその衝撃でその場に倒れる。

泉谷隼人いずみやはやと貴様がッ貴様が切れ味が良いというわけでもないなまくらと罵った包丁の切れ味は抜群だろう。そのままくたばれ魔王!」


 あぁ、そう言えばこの間そんな事を言ったな。確か石川県の包丁職人だったかな。

「お前、の、事忘れ、な、いぞ。必ず、破滅させてやる、から、なっ!」

 そう言って彼は狂気に満ちた笑いを浮かべ、意識を失った。


 それを見ていた犯人の男は、恐怖に震え上がった。自分が襲った筈なのに、逆に襲い返されたかの様な恐怖を感じたのであった。


「く、クソ人間はこの世から居なくなればいい。その方がこの世界の為だ!」


 その犯人は泉谷隼人の心拍が完全に停止したのを確認してその場を去ったのであった。

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