IG - INSTANT GUARDIANS -

王叡知舞奈須

プロローグ

プロローグ:Welcome to this dusty world



 『自殺』というものについて、あなたはどう考えているだろうか?



 何の脈絡も無しに突然、そんなことを聞かれても困惑するだろう。



 かくいう私も、『自殺』について哲学的に語り合うつもりなど毛頭ない。



 ある日ふと思い立ち、検索エンジンで『自殺』と打ち込み、同時に『絶望』と追記して検索を開始してみたのだ。


 出てきた件数は、625000件。


 凄まじい数だと思っただろうか。少なくとも私はそう思った。


 一度『絶望』の文字を消し、そこに新たに『希望』と打ち、また検索して―――正直に言って、表示された結果に戦慄を覚えた。



 出てきた件数は―――2020000件。


 先程より、実に四倍近くのサイトにヒットすることとなった。



 『自殺』というものは、『絶望』より『希望』に結び付くらしい。



 心身ともに摩耗し、生きることに希望が見出せない。

 だからと言って自ら生まれ持った命を終わらせるのは見当違いだとも思ってしまうが、悲しきかな。人間には、どうしてもこぼれ落ちてしまう存在がいるのだ。




『自殺希望者大歓迎!』


 そんなチープなネット広告につられて、に彼等は集められることとなった。他のルートから来ていた者もいたが、大半はここからやってきたことだろう。


 まさかこれが、自殺者を減らそうとして関係者以外に極秘で国が立ち上げたプロジェクトの一環───というか、それが何度も部署をたらい回された結果形を変えてしまったものだとは知らずに。



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