リアジュウ
シリカゲル
一話
都市伝説はどこにでも存在する。
怪談話のようなものから、願いを叶えるおまじないのようなものまで、至るところにそれは存在する。
そして、それはこの街「花園ニュータウン」
にも存在している。
花園ニュータウンは近年に発達した都市であり、あちこちにデカイ工場やオフィスビルがバンバン建っている街だ。近くには山や海もあり、自然にも恵まれている。
そして、そんな街に流れている都市伝説とは、世間一般に流れている噂とは一味違うものだった………。
高山理央は花園ニュータウンにある私立大学に通うために、地方から上京してきた大学生だ。大学の寮への引っ越しも済み、土地勘を身に付けようと学校まで散歩しているときだった。
「ん?なんだろうあれ?」
パトカーがやたらと止まっている。
何か事件でもあったのだろうか?
好奇心が強い理央は事件の現場を見ように近づいてみた。
近づくに連れて、野次馬の声がはっきりと聞こえて来た。
「ねぇ、聞いた?」
「ああ、なんでもまたあいつらの仕業らしいな。」
「この辺も物騒になったのねぇ。うかつに外に子どもをだせないわ。」
あいつら?なんのことだろうか?
くわしく聞いてみようと近づこうとしたら、
突然辺りがざわつきはじめた。
「やつが逃げたぞ!追え!」
どうやら何か生き物が逃げたらしい、あわてて散り散りに逃げていく野次馬たちを見つめながら、理央はポカンとしていた。
「さっきのは一体なんだったんだろうか?」
理央は夕飯の材料を買いに近くのスーパーにきていた。買い物を終えて、人気のない帰り道を歩いていると、前方に肩を押さえながらふらふらと歩いてくる人が目に入った。
「あのー、どうかしましたかー?」
思わず声をかけて近づこうとした時、突然その人は何かを叫びだした。
「フラ……」
「あのー」
「ペ……ノ」
「えーと、」
「フ………チ………ノ」
「すみませーん。」
三回声をかけたその時、突然そいつは目を見開いて叫んだ。
「フラペチィノォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」
驚いて思わず後ずさると、それは形が崩れ始めた。いや、肌が茶色く変色して、木の表面のようになっていく。
そして人形の怪物となったそれは、ゆっくり顔をこちらに向けた。
「Are you フラペチイノ?」
「!?」
未知との遭遇による恐怖で腰がぬけて理央はその場にしりもちをついて、うしろに後ずさった。
「こ………こないで………」
声を振り絞ってだしてみても、怪物はフラフラとゾンビのようにこちらに向かってくる。
「た……………たすけて!」
叫んでも誰もたすけてくれない。
怖くて目を瞑ったその時、
「RIAJU」
無機質な音声が聞こえた後、辺りに熱風が吹き荒れた。
「GYAN!」
何かが激しく衝突する音がした。それと同時にアスファルトを何かが転げ回るような音も。
私は恐る恐る目を開けた。そこには緑色に光るもう一人の怪人がたっていた。よく見ると
どこか機械っぽく見える、緑色にぬらぬら光る甲殻を黒いボディスーツに張り付けたような格好をしている。
怪人がこちらを振り返った。後頭部へ伸びる3本のトサカがついた帽子のつばのようなパーツの下に存在するバイザー越しの目がこちらを見ていた。
緑の怪人は、木の怪人のほうに視線を戻すと、
「BLADE」
無機質な音声が流れて、腰の横についていたグリップを引き抜いた。グリップの先からニョキニョキと大きな刃が生えてきた。
そしてそのまま、木の怪人へ走りだしながら前方に刃をつき出した。木の怪人は防御する間もなく深々と胸元に刃が突き刺さった。
「フラ、ペッ………」
木の怪人はよろめき、何かを呟きながら、路地裏の方へ逃げていった。
「逃がさん」
緑の怪人がそう呟くと、いつの間にか新しく生えてきた腰元のグリップを引きながら怪人の後を追っていった。
理央はその光景をただ唖然と見ていた。
花園ニュータウンには、こんな都市伝説がある。「人の形をした化け物が町に現れる。」
そして、これは伝説ではなく事実である。
さらに、この伝説をめぐって大きな組織が動きだしている。
その怪人の名前は「リアジュウ」という。
リアジュウ シリカゲル @7110
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