介護業界に入ったが適応障害になり半年で辞めた23歳男性の記録

花本真一

第1話 始まり

 介護職員離職率ゼロ。今日本の目標の一つになっている事柄である。迫りくる少子高齢化に対して国が給与や待遇の面について大幅なサポートを行うのが目的。

現に昔と比べたら介護業界に対しての社会的地位や経済面でも安定してきていると、僕が、かつて勤めていた施設の先輩職員がおっしゃっていた。

 でも、これだけは言わせてもらいたい。

 そんな外堀だけを埋めた所で、どうにもならないのがこの業界の現実だ。お金とか福利厚生では賄えない問題が広まっている。

 しかし、その問題を言葉で表そうと思っても、上手く纏まらない。

 まぁ、たった半年で辞めた若造が偉そうに言える立場ではないと、自分でも思っている。だけど、どうしても分かって欲しい現実がある。それを伝えたいと思って僕は筆を取ることにした。

 ただ、誤解しないでいただきたい。僕は別に介護業界やそこで働く人々を否定するつもりもなければ、そこに進もうと考えている人を止めるつもりはない。実際に現場を通して、そこで働いている人々がどれだけ素晴らしいことをしているのかを肌で感じた。

 ただ、知って欲しいだけなのだ。この世界は優しい人間が向いていると言うよりは、目の前にある現実に対していかに合理的に対処していける人こそが生きていける、そんな世界なのだと。

 今回は、就活から実際に働くまで、半年以上の記録を書いていく。そのなかで実際に働いている人々であったり、これから進路の一つとして考えている人々に対して、何か響くものがあれば、これ幸いである。

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