2回表「俺の投球術」
「あのですね、セーブ数20ですけど実質もう少しあると思うんですよ。」
おれは、そのように救団職員にアピールすることにした。
「例えば、珍しくオークではなくて、5WPのゴールデンバット倒したときのことですけど…。」
あのとき、俺たちはいつも通り、神宮の森でオークを探していた。
すると、突然、前方から大型の金色の羽をもつコウモリ型モンスターの「ゴールデンバット」がこちらめがけて飛んできたのだ。
「ゴールデンバットか!?」
「くそっ、レアものだが倒せるか?」
「障壁の
こっちに突っ込んでくるゴールデンバットを見て、よけるより先に水魔法による壁を作るサークル勇者、さすが守備職人、カバーが早い。
ものすごい勢いで体当たりをしてきたモンスターだったが、その見えない壁に跳ね返された。
「よっしゃ、相手の表の攻撃は完封できたぜ、裏の攻撃と行きますか。」
うちらの業界では、先に仕掛けてきた方を表、反撃する方を裏と呼んでいる。どこかの新聞がそういう書き方をすることから、いつの間にか定着したようだ。
そして跳ね返されたモンスターが少し動きを止めたときにチャンスとばかりに、ショーツカ勇者が矢を放った。
狙いはインコース、羽の付け根のあたりにきっちり打ち込んで、飛べなくする。
これを外すと、敵に飛ぶ隙を与えてしまう。
スパーーーンッ!!
「ストライク!!」
攻撃が直撃がした際には、俺らはこういう風に呼ぶのが通例になっている。
狙い通り内角に鋭く決まった。
モンスターが全くよけることのできない絶妙な位置に矢が刺さり、動きを止めた。
ホールド成功である。
ここ一年で、ショーツカのコントロールはすごくよくなっている。
そして抑えの俺の攻撃、ゴールデンバッドのからだは大きいので、胴体に火球を当てるのでは、5,6発撃ち込まないと倒すことはできない。
狙いは一点、奴の大きな耳だ。ゴールデンバッドは耳を燃やしてしまえばすべての感覚を失い行動不能に陥る。だから、俺は火の玉を奴の頭部、それも高めにきっちりぶち当てればいい!
魔力を手に集中させて火の玉を作る。
そして全力で右手を大きく振りかぶった。
「
渾身の火の玉ストレートをストライクゾーンぎりぎりの高めに放り込んだ。
ズドーーンッ!
ストライク!!バッドーーアウト!!
見事狙いの場所に直撃させ、ゴールデンバッドを行動不能にさせた。
その後、動けないゴールデンバッドをドーダイ勇者が刺し殺して、ゲームセット。
セーブポイントは、ドーダイ勇者についたのだった。
「おかしいでしょ、このセーブポイントは俺につくべきでしょう?ドーダイ勇者は実質なんもやってないんですよ。」
こういうのがうちのチームは本当に多いのだった。
「まぁまぁ、気持ちはわかるけどセーブポイントってそういうもんだから…。」
「いいね9万Gで?」
「保留でお願いします・・・。」
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