孤独な学生たち
タツノオトシゴ
プロローグ
始まりの春には早苗を植える早乙女が点々とした緑に映え、何かと忙しい夏にはアブラゼミやらが
過疎が深刻になりつつある山形県鶴岡市は四季折々の風景を楽しむことが出来る。
若者が鶴岡から出ていき、大都市に住むようになり、その子供もそこの学校に通うようになる。残された家庭は数少ない教育機関に子供を通わせなければならない。しかしそれは保育園までで、幼稚園に上がればあとは中学校までは安泰といったところだ。
学校の供給は充分だが、需要が停滞している。それは、学校の閉校を意味しており3年に1校はこの鶴岡市から消えている。合併などではなく、本当の消滅。この街から消されるのだ。
ここ
木造の平屋で昇降口を入ると目の前には職員室。そして左右に木板で出来た廊下が伸びており、その脇に教室が並んでいる。校舎の老朽化も進んでいることから閉校の判断は正しかった。
校門の脇に生える1本の立派な桜の木は今まさに満開を迎え、見頃だ。
そんな穏やかな春のある日。晴田高校最後の1年生の入学式が執り行われようとしていた。
──自分たちが最後の生徒になるとは知らずに。
孤独な学生たち タツノオトシゴ @tatsunootosigi
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