救済都市エテス・タス ~二人の神~
@tubamitu
第1章 始まりの物語
出典『ウェルフィー創世記』 天の国 神の図書館より抜粋
あるところに、神様が二人いました。
創造を司る神、ロミ・カルと 破壊を司る神、ル・キッシュです。
創造の神は、様々な物を作り出しました。緑豊かな大地、木々や花畑、山岳まで。
それらは難なく出来る事でした。ロミ・カルに不可能はありませんでした。
と、言われていました。
ロミ・カルは、次にその土地に暮らす者『人間』を作り出そうとしました。
しかし、ロミ・カルは何度作り直しても、どうしても入ってしまう不純物がある事に気がつきました。それは、悪の感情――『ケガレ』でした。
「ああ、もう!どうしてケガレが入ってしまうの!」
彼女は嘆きました。今まで多少ケガレが生まれても、取り除く事はたやすい事でした。ですが、人間だけは何故か毎回ケガレが混入して取り除けないのです。
「いい加減諦めようぜ、何年やっても取れやしねえんだからよ。もう壊すのはごめんだぜ、不完全な『人間』とやらを」
ル・キッシュはケガレの入ってしまった人間を、文明を作り出す前に破壊していました。それを数年間続けていて、飽き飽きしていました。
「……もう、いいわ。このまま下界へ送り出す」
彼女は下界へ、大量に人間の転送を始めました。
「おい、どういうつもりだよ」
ル・キッシュは焦りました。
「取れないなら…… いっそこのまま見守ってみましょう」
「…はぁ!?」
ロミ・カルの大胆な発言に、ル・キッシュは驚きを隠せませんでした。
「人間たちがどのような文化を作るか、楽しみだわ…あははは」
「コイツ、ついに壊れやがった…どうなってもしらねぇぞ、俺は!」
それから、数百年が経ちました。
人間たちは、当時は大人しかったモンスターの住処さえも、自分たちの物にしようとしていました。これが、悪の感情…ケガレの作用でした。
そして。ついに、モンスターたちによる反抗が始まったのです。
これが悲劇の始まりでした。建物は竜や巨大な者たちに焼き尽くされ、破壊の限りを尽くしたモンスターたちは、今現在も破壊活動を続けています。
――悪いのは、神様でしょうか、人間でしょうか?
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